資産価値は下がると言われていますが、乗り越える力を武蔵小杉は持っていると考えます。
その原動力になるNPO法人エリアマネジメントの活動にも触れつつ、今後について記載します。
1.武蔵小杉のタワマンの台風被害
2019年10月12日に台風19号は関東圏、東北を中心に大きな被害をもたらしました。
報道では「命を守る行動を!」と繰り返し呼び掛けていたことが、これまでにはあまりなかった報道であったと感じました。
人的被害が多く報道された台風ですが、その他に注目されたのが、近年は住みたい街の常連である武蔵小杉にあるタワーマンションの冠水被害です。
48階建てのタワーマンションでは電気室が地下に設置されており、地下に水が流れ込んだことにより電気系統が冠水し、停電になりました。
マンションで電気の供給ができないとなると、部屋の電気が付かないということはもちろんのこと、エアコンが使えない、エレベーターが動かない、給水ポンプが動かないので水が出ない、もちろんトイレが使えないといった日常生活に大きな影響があり、特に高層階に住む人は出かけるだけでも階段を昇り降りしなければならず、とても大変な思いをしています。
2.浸水を防いだタワマンが多数
武蔵小杉では10数棟のタワマンが林立していますが、停電となったタワマンは2棟です。
他のタワマンではもともの立地や構造の条件の違いに加え、止水板や土嚢等で地下への水の流入を防ぐといった対策で、報道されている一部のタワマンのような被害は免れました。
特に管理組合活動や防災への取り組みを意志を持って発信しているタワーマンションでは、停電になっているマンションではないこといち早く発信し、マンションの状況を公開していました。
3.資産価値への影響
マンション価格は購入したいという需要があって初めて価格が上昇しますが、通勤ラッシュのときに改札を通過するだけでも待ち時間が発生することや、保育園の不足といったインフラの限界が報道されている中で、これだけ台風被害でタワマンのネガティブな報道がされてしまった手前、当面の間はマンション価格は下落するでしょう。
考えてみれば、武蔵小杉のマンション価格は、坪単価350万円を超えていますので、70㎡の部屋を購入するには8,000万円が必要となります。
この価格帯を購入できる層と言えば、資産家を除けば、社会情勢に敏感な経営者・医者、弁護士、サラリーマンでも重役といった給与水準が高い方々に限られます。
このような方々が現在のような報道がされる中で、あえて武蔵小杉にマンションを購入するでしょうか。
私見ですが、長期的に見れば下落は一時的なものとなると考えます。
理由としては東日本大震災のときに湾岸エリアや浦安方面では液状化により、かなりマンション価格が下がりました。
しかし、今はどうでしょうか。過去最高水準になっている状況です。
さらには、これまで横須賀線で課題となっていたホームの拡張にも乗り出すという情報もあります。
続々とタワマンが建設される中、街づくりのインフラが整いませんでしたが、これからようやくインフラが追い付いてくると考えています。
今回の台風被害を機に、更なるインフラの整備について行政がアピールをすれば資産価値の低下は最小限に留まり、むしろ数年後にはより住みやすくなった武蔵小杉をアピールすることができるのではないでしょうか。
4.武蔵小杉の価値を高めるNPO法人エリアマネジメント
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント(通称:エリマネ)をご存知でしょうか。
武蔵小杉駅周辺の地域コミュニティの形成や安全・安心のまちづくりを目指して活動している団体ですが、コスギフェスタというイベントを開催したり、一斉清掃を実施したり、地域の価値を高める活動を行っています。
コスギフェスタでは川崎フロンターレの選手にも参加いただきイベントを盛り上げたり、報道されているタワマンがイベントに協力し、各マンションを回ってスタンプラリーを開催するなど、街全体で活発な地域コミュニティ活動を行っています。
このような取り組みが続く限り、今回の台風被害には負けないコミュニティが武蔵小杉には出来上がり、建物だけでない街の本当の価値を高めていくことができると思っています。
5.まとめ 武蔵小杉のタワマンの資産価値の方向性
企業の利益を求め、街づくりは後回しにし、タワマンばかりを作り続けた弊害が注目されてしまうことや今回の台風被害によって街の価値が著しく下がったような印象を持つ方も多いと思います。
しかし、近年これだけ発展してきた武蔵小杉が持つ潜在的な力は、行政、エリマネ、住民が協力しあうことにより、一層発揮されるものと思いますので、今は大変な時期かもしれませんが、街が一体となってこの状況を乗り越えてほしいと願っています。