【こんな悩みを解決したい】
- 機械式駐車場の空き区画の増加に悩んでいて解決方法を知りたい。
- マンション管理組合の収入を増やす方法を知りたい。
機械式駐車場の空き区画が増えて悩んでいませんか?
空き区画が増えると管理組合会計の柱の一つである駐車場使用料が管理組合に入りません。
実はこの問題の解決方法は、管理組合内での調整は必要ですが、ある程度限られていて、さらに、事例が増えてきていますので複雑なことはありません。
本記事では空き区画の有効活用だけでなく、管理組合収入を増加(費用削減含む)させる方法を紹介します。
5分程度で読むことができますので、最後までお読みいただけると幸いです。
1 マンションで駐車場の空き区画の増加が止まらない
マンションの駐車場に空き区画が増える要因です。
マンションの立地(都心部、郊外等)、構造だけでなく、居住者の年齢層などにも左右されますが、次の要因に分類できます。
- 機械式駐車場の企画制限をオーバーする
- 高齢、経済的理由により車を手放す
- マンションの駐車場ではなく近隣の駐車場を契約する
- マンションの駐車場が不便
- 社会的変化による車離れ
1-1 機械式駐車場の企画制限をオーバーする
最近の車は大型化が進み、高さ、幅、重量等の兼ね合いから機械式駐車場の区画に入らないため利用できないケースが増えています。
この場合、点検会社に確認することが前提ですが、機械式駐車場の区画を大きくする解決方法はあります。
しかし、構造的にできない場合や工事費用といった課題があり、有効な解決方法とは言い難いです。
1-2 高齢、経済的理由により車を手放す
高齢で免許を返納することや経済的理由により車を手放さざるをえないといったことがこのケースです。
生活に困窮し手放す場合もありますが、カーシェアリングが広まっており、駐車場料金、保険等の維持費を考え、節約のため手放すケースも増えています。
1-3 マンションの駐車場ではなく近隣の駐車場を契約する
近隣にマンション内より安い駐車場があるので、外部に駐車場を借りる場合です。
個人の立場では合理的な考え方ですが、駐車場使用料収入をあてにしている管理組合からすると、マンション管理組合にお金が入らないので、辛いところです。
1-4 マンション駐車場が不便
都心部では駐車場スペースをぎりぎりの大きさで設計していて、運転が不慣れな方は入出庫に苦労します。
また、タワーマンションでよく見かけるタワーパーキングは最悪です。
1つのタワーパーキングに60~70台駐車ができるような場合、入出庫待ちで5~10分かかってしまうことがあります。
急いでいるときにはたまったものではありません。
1-5 社会的変化による車離れ
駅直結のマンションや都心部にマンションが増えたことにより、車両が不要という人が多いです。
また、人口の減少、シェアリングサービスの普及、趣味の多様化などにより、以前ほど車を持ちたいという人が減っています。
このあたりは野村證券㈱による、「EL BORDE(エル・ボルデ)」にきれいにまとめられていますので、参考にしてみてください。
2 機械式駐車場の空き問題を解決する3つの方法
解決方法は大きく3つあります。
- 機械式駐車場のサブリース(外部貸し)
- 機械式駐車場の平面化(埋め戻し)
- 機械式駐車場の使用用途の変更
2-1 機械式駐車場のサブリース
空き駐車場をサブリース(外部貸し)に出すことで管理組合は収入を得る方法です。
具体的には、駐車場に10区画(1区画1万円の月額使用料)の空きがあった場合、このままにしておくと管理組合の収入はゼロです。
しかし、この10区画をサブリース業者に「1区画4,000円×10区画=4万円」で貸し出すことにより、4万円の収入を得る方法です。
詳しくは次の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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2-2 機械式駐車場の平面化(埋め戻し)
機械式駐車場を撤去して、大きな車が駐車できるように平面駐車場にする解決方法です。
この方法では新たに駐車場使用料が見込めることや機械式駐車場の保守点検費用の削減といった嬉しい効果が見込めます。
ただ、時代の流れに合わない駐車場の附置率(マンションには一定の駐車場区画を確保しなければいけないという決まり)が足かせになる場合があります。
詳しくは次の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
2-3 機械式駐車場の使用用途の変更
駐車場を倉庫やバイク置場等に変更する方法です。
これには㈱エンタイズコーポレーションが提供する立体駐車場ユニット「P-Cube・P-Bike」といった商品が出ています。
しかし、危険な改造の例_機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドラインに抵触するような考えもあります。
安全性が担保されることは優先されるべきですが、管理組合にとっては公に機械式駐車場メーカーが許可を出すような流れにならないと貴重な空き駐車場問題の解決方法が一つ消えてしまうことになります。
参照元:危険な改造の例_機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドラインの手引きから抜粋
3 対策にならない!マンション空き駐車場問題の解決方法
「駐車場使用料を減額すれば契約が増える」、「車のシェアリングサービスを導入すればいい」といった声をよく耳にします。
しかし、これらは効果的な解決方法に見えますが、「管理組合としての財政上のメリット」と「一居住者のメリット」のバランスを考え判断する必要があります。
【注意が必要な空き駐車場問題の解決方法】
- 駐車場使用料を値下げして契約台数を増やす
- 車のシェアリングサービスを導入する
3-1 駐車場使用料を値下げして契約台数を増やす
近隣の駐車場の方が使用料が安く、そちらに契約者が流れているので、駐車場使用料を減額すれば契約者が増えると主張する人がいます。
ここで月額10,000円の区画が10区画有り、そのうち6区画が契約中の機械式駐車場を前提として考えてみましょう。
管理組合の収入は60,000円で、仮に月額10,000円を月額8,000円に減額して新しい契約者を募ろうとした場合、まず確保できる管理組合の収入は8,000円×6区画=48,000円です。
減額したことにより新たに1区画が契約できたとした場合、8,000円×7区画=56,000円となりますが、これだと契約区画は増えたものの管理組合収入は減ったことになります。
近隣相場次第に左右されますが、このような観点を忘れずに金額設定をする必要があります。
| 現状 | 変更後 |
1区画の月額使用料 | 10,000円 | 8,000円 |
契約区画数 | 6区画 | 7区画 |
管理組合の月額収入 | 60,000円 | 56,000円 |
3-2 車のシェアリングサービスを導入する
先ほどと同じように月額10,000円の区画が10区画有り、そのうち6区画が契約中の機械式駐車場を前提として考えてみましょう。
管理組合の収入は60,000円で、仮に月額10,000円を月額8,000円に減額して新しい契約者を募ろうとした場合、まず確保できる管理組合の収入は8,000円×6区画=48,000円です。
仮にマンション内でシェアリングサービスを導入したときに、車両が不要となり3区画で解約があった場合、管理組合にとっては月額30,000円の減収です。
シェアリングサービスの提供会社からはスペースの月額使用料を管理組合に支払われますが、シェアリングサービスを導入した場合の想定解約数とのバランスと考える必要があります。
まとめ マンション空き駐車場を有効活用して問題を解決する3つの方法
本記事のまとめ
- マンションで駐車場の空き区画の増加が止まらない
- 機械式駐車場の空き問題を解決する3つの方法
- 対策にならない!マンション空き駐車場問題の解決方法
駐車場の空き問題の解決にあたっては、シェアリングサービスといった社会的な変化、付置率や安全性の担保の観点からメーカーや点検会社の同意が得られにくいとった課題はあります。
しかし、まったく解決方法がないというわけではありません。
各マンションの状況を冷静に整理して、空き区画問題の解決に本記事が参考になれば幸いです。
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