マンション管理組合

マンション駐車場の空き問題を解決する外部貸し(サブリース)の手順

駐車場の空き対策として外部貸し(サブリース)を提案している様子

 

近年は車離れが進み、多くのマンションで駐車場に空きが目立っています。

 

マンション内で駐車場の空きが出ることによって、多くの管理組合が管理費に次ぐ収入の柱である駐車場使用料収入の減収に悩んでいます。

 

このような管理組合で空き駐車場を収益化(サブリース)する方法を本記事では紹介します。

 

こんな方におすすめ

  • 駐車場に空きがあるマンション管理組合の関係者(理事長や理事等)
  • 空き駐車場を収益化したいと考えているマンション管理組合の関係者

 

 

1 マンション駐車場の空き問題を解決する外部貸し(サブリース)

マンションで空き駐車場が増えることによる管理組合収入の減収を解決する方法の一つに、駐車場の空き区画をサブリースに出す方法があります。

 

このサブリースが注目を集めるきっかけとなったのは、2012年に国税庁が発表した見解です。

 

内容としては、それまで管理組合において曖昧だった課税対象となる貸し出し区分について、区分所有者の利用を優先するといった一定の条件を満たしていなければ、区分所有者の利用も含めて、駐車場の収益の全てが課税対象となるということです。

 

サブリース契約の概要

サブリースとは、例えば10区画(1区画1万円の月額使用料)の空きがあった場合、このままでは管理組合の収入はゼロですが、この10区画をサブリース業者に4万円(1区画4,000円)で貸し出し、契約があっても無くても4万円の収入を得る方法です。

 

このサブリースを行えば、管理組合として空きに悩むことなく、一定の収入を確保できるうえ、煩雑な外部からの集客、契約手続き等の全てをサブリース業者が行うため、最近では導入するマンション管理組合が増えてきています。

 

なお、サブリース業者も利益を確保する必要があるため、サブリース業者が実際に貸し出す金額の4~5割前後の金額が実際に管理組合に支払われるサブリース料となると言われています。

 

 

2 マンション駐車場の空き問題を解決するためにサブリースを提案する会社

では、どのような会社が駐車場のサブリース事業を行ているのでしょうか?

 

サブリース業者として見積もり依頼をされている場面で良く耳にするのは、日本駐車場開発㈱、㈱パーキングマーケット、㈱エリアパーキング、大和ハウスパーキング㈱といった会社であり、比較検討は、以下の項目を中心に行えばよいと考えます。

 

サブリース会社の比較項目

  • 実績
  • サブリースの契約料
  • フリーレント期間
  • 看板設置の有無
  • 契約期間
  • 解約条件
  • 契約者の募集方法
  • 契約者の選定基準・方法
  • 車庫証明、駐車場トラブルの対応窓口

 

サブリースのシミュレーション

個人向けだけでなく管理組合向けにもサブリースの相談が可能なパーキングマーケットにシミュレーションを依頼してみてはいかがでしょうか?

 

 

3 マンション管理組合が空き駐車場問題を解決するためにサブリース契約を行う手順

マンション管理組合が駐車場の外部貸しを行うにあたり必要な手順をまとめてみました。

 

外部貸しの手順

  • マンション管理組合向けのサブリース会社の選定
  • マンション管理規約の変更案を作成
  • サブリース契約の締結と管理規約の変更を総会に上程
  • サブリース業者に空き駐車場を貸し出す契約を締結
  • 事業開始届の提出

 

3-1 マンション管理組合向けのサブリース業者の選定

理事会にて、複数社に見積もり依頼を行い、条件を比較し、サブリース契約を締結する会社を「内定」します。

 

内定としているポイント

「内定」と記載しているのは、サブリース契約を締結するにあたっては、管理規約の変更を中心に総会決議が必要となるからです。

 

3-2 マンション管理規約の変更案を作成

おそらく現状のままの管理規約では駐車場を外部の方に貸し出すことはできないマンション管理組合が大半です。

 

外部の方に駐車場を貸し出すことができる管理規約に変更する案を作成します。

 

管理規約の変更対象となる主な記載

  • 駐車場利用者が区分所有者や占有者という記載は変更する
  • 駐車場を契約できる上限(例えば一人一台)が定められている記載は変更する
  • 管理費会計・修繕積立金会計に加えて、収益事業会計の規定を追加する

 

3-3 サブリース契約の締結とそれに伴う管理規約の変更を総会に上程

上記3-1と3-2で検討した内容を総会に上程します。

 

3-4 サブリース業者に空き駐車場を貸し出す契約を締結

総会承認の後、サブリース業者と契約を締結し事業を開始します。

 

3-5 事業開始届けを提出

今後の納税手続きまで視野に入れて、税理士に事業開始届け(事業開始後、一定期間内に届け出)を依頼します。

 

ここに注意

納税義務はマンション管理組合の法人化の有無に関わらず生じます。

 

 

4 マンション駐車場の外部貸し(サブリース)の納税に関する事例

税理士法第52条には、「税理士又は税理士法人でない者は、法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)を行ってはならない。」との規定があります。

 

そのため、管理会社やマンション管理士等にマンションでサブリース契約を締結したときの税金額を確認することはできません。

 

ただ、管理会社やマンション管理士は多くの事例を知っていますので、実例で確認をすることはできます。

 

実際に私が知っているマンションの例では、以下のようになります。

 

経費として計上できる修繕費があったことによっても前後しますので、あくまでも参考例です。

 

なお、その他、幅はありますが、税理士費用として3~8万円程度が必要となりますので、収入の80%ほどが手元に残ると考えれば大きく見込みが外れることはないでしょう。

 

外部貸しによる収益の税金の目安

  • 30万円の収入対して税金は5万円
  • 240万円の収入に対して税金は20万円
  • 480万円の収入に対して税金は80万円

 

 

まとめ マンション駐車場の空き問題を解決する収益化の手順

本記事のまとめ

  • マンション駐車場の空き問題を解決する外部貸し(サブリース)
  • マンション駐車場の空き問題を解決するためにサブリースを提案する会社
  • マンション管理組合が空き駐車場問題を解決するためにサブリース契約を行う手順
  • マンション駐車場の外部貸し(サブリース)の納税に関する事例

 

サブリース業者を通さず管理組合が直接貸し出しをする方法もありますが、契約者の審査、トラブル対応、使用料の徴収、滞納リスク、広告宣伝等、多くの実務が必要となりますのでお勧めしません。

 

また、敷地内に見知らぬ人が出入りすることを嫌いサブリース契約の締結を見送る管理組合もあります。

 

しかし、サブリースはマンションが抱える空き駐車場問題を解決するための有効な方法ですし、どのようにセキュリティを保つかはマンションの構造によっても異なりますので、一度は検討してみる価値はあると思います。

 

サブリースのシミュレーション

個人向けだけでなく管理組合向けにもサブリースの相談が可能なパーキングマーケットにシミュレーションを依頼してみてはいかがでしょうか?

 

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