マンション管理組合

マンション管理組合と管理会社は本当に利益相反関係にあるのか?

相反関係を表した画像
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マンション管理組合と管理会社は利益相反の関係にあると言われます。

はたしてそれは本当なのか?

よく言われる工事の受発注の観点から考えてみました。

 

こんな方におすすめ

  • マンション管理組合の理事役員で工事の発注先に悩んでいる方
  • マンション管理組合の関係者で管理会社に工事を任せたくないと考えている方

 

 

 

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1.マンション管理組合と管理会社は本当に利益相反関係にあるのか?

マンション管理組合運営の場で、次の言葉を聞くことがあります。

 

管理組合運営の場で聞く言葉

  • 「マンション管理組合と管理会社は利益相反関係にあり、管理会社に工事を発注することは役員の誠実義務違反や善管注意義務に違反する。」
  • 「管理会社は管理組合のお財布事情(管理費会計・修繕積立金会計)を把握していて、食い物にされる。」

 

法律に基づく利益相反行為であれば、有無を言わさずこの行為は禁止されていますし、お財布事情を知っているということであれば、銀行や証券会社が顧客に金融商品を提供することと、どのように違うのでしょうか?

 

ココがポイント

大切なことは管理組合が、管理会社の立場を理解したうえで、価格だけでなく、工事内容、アフターフォロー等の提案内容を比較検討し、どこに工事を任せることが継続的な管理組合運営を行うにあたりメリットになるかということを判断軸にすることだと思います。

 

マンション管理組合と管理会社の構図

項目

管理組合側の目線

管理会社側の目線

管理組合運営

当事者

外注先の一つ

管理委託業務

安価だが、手間をかけてもらいながら良い管理サービスを提供してほしい

利益があり、できるだけ手間がかからず管理を実施したい

管理費

できるだけ安価に抑えたい

高く徴収した方が、管理委託業務費の値上げを行えることや管理仕様のアップによる売り上げの増加が見込める

修繕積立金

できるだけ安価に抑えたい

資金計画に支障をきたすため、早い時期からできるだけ多く貯めておいてほしい

修繕の実施

できるだけ工事は実施せず節約したい

工事を受託し、利益を出したい。

 

 

2.マンションの管理会社に修繕工事を発注するメリット・デメリット

管理会社に修繕工事を任せるのは利益を取られ(ピンハネ)、管理組合は損をするだけと考えるのは早計です。

特に管理組合役員を経験された方の場合、管理組合と工事会社が直接契約するよりも、管理会社に任せた方が良いと思われる方は増えます。

 

私として管理会社の肩を持っているわけではありません。

 

「管理会社とは長い付き合いだから引き続きよろしく。」という考えも無しとは言いませんが、客観的に次の事項を勘案し、管理会社に任せる方が良いのか、管理組合が直接発注をする方が良いのか、それぞれのメリット・デメリットを十分に検討し、利益相反という言葉に流されず、依頼先を決定してください。

 

チェックリスト

  • 管理委託業務としてマンション管理会社に元請けで依頼している点検等に基づく修繕工事
  • マンションのライフライン(水・電気等)に関する工事
  • 管理組合として修繕工事の依頼先をどのように見つけるか?
  • 工事の発注から完了、工事費の支払いまで管理組合がフォローできるか?

 

2-1 管理委託業務としてマンション管理会社に元請けで依頼している点検等に基づく修繕工事

点検と修繕が別会社になることで、責任分界点があやふやになります。

例えば、機械式駐車場を点検会社以外の工事会社に依頼をして修繕をした夜に機械式駐車場が停止したときに、まず状況を見に来るのは保守会社です。

 

ココに注意

その時点で保守会社は「私たちは知りませんので、補修を依頼した会社に連絡してください。」と言われて、復旧までに時間がかかることや、一見の出入り業者では、その後さらに費用負担が発生する可能性があります。

 

2-2 マンションのライフライン(水・電気等)に関する工事

水回り等のライフラインに関する工事は、断水や停電を伴う工事となる場合があり、居住者への広報や事前調整が重要となります。

また、不具合発生が夜間等になれば、管理会社の緊急受付センターとも連動して動く必要もあります。

 

ココがポイント

このことを考慮すると、ライフライン関係は管理会社に任せる方が良いと言えます。

 

2-3 管理組合として修繕工事の依頼先をどのように見つけるか?

最近ではネットで候補会社を見つけることは難しくなくなりました。

一方で、マンションに手慣れているという業者でも、実は賃貸マンションを専門にしており、分譲マンションの経験はほとんどないといったこともあります。

 

ココに注意

また、工事会社を紹介した理事役員が癒着していると疑われることも良くあることです。

 

善意(ボランティア)でやったことに関し、後ろ指をさされることになってしまうので、そういったことも想定しておくべきです。

※他の人が儲けているかも?と思った時の嫉妬は怖いですからね。

 

2-4 工事の発注から完了、工事費の支払いまで管理組合がフォローできるか?

工事を依頼することや請求書の手配等、一見の業者であればトラブルになる可能性があります。

請求書が出てこない、出てきたと思ったら数日以内にすぐ支払えとなることもあります。

 

管理組合の支払いのほとんどは会計業務を管理会社に委託しており、その支払いのスケジュールに合わせる必要がありますが、業者を連れてきた役員(住民)からの圧力で無理をせざるをえないことも出てきます。

 

 

3.マンション管理会社が修繕工事を受注する背景

管理会社が工事の受注に積極的になる背景は、管理委託業務の収益力の成長鈍化・悪化を補填するためです。

管理会社が工事を受注せずに継続的に利益を出していくためには、本業(事務管理業務や管理員業務)の面で利益を出し続ける必要があり、この分野の対価を同じ管理組合から毎年拡大することは難しいです。

 

そのため、右肩上がりを求める会社(特にデベロッパー関連の管理会社)であれば、工事の受注を業績拡大の一つの方法として考えています。

 

このようなしがらみに縛られず、必ずしも業績は右肩上がりではなく、管理会社の本業だけを大切(当然一定の収益が必要ですが)にしていく会社が現れることで、利益相反関係と呼ばれることは少なくなると思います。

では、管理委託業務の収益力の成長鈍化・悪化の背景を紹介します。

 

管理会社の収益力低下の背景

  • マンションの管理委託業務費の値引き
  • 人件費高騰に伴うマンション管理委託業務費の利益率の悪化
  • マンションの新築供給戸数の減少
  • マンションの専有部サービスの限界

 

3-1 マンションの管理委託業務費の値引き

管理会社はマンションが建った時から決まっています。

デベロッパーによっては、管理会社を比較したうえで決定している場合もありますが、多くの場合はグループ会社からの供給ということで、競合しない状況において管理会社が決定してしまうプロセスをたどっています。

 

つまり「言い値」に近いと言っても過言ではありません。

そのため、以前までであれば、管理会社の相見積もりを取得することで、同仕様による値下げが可能となっていました。

 

ただし、表面上は同仕様ということですが、これまでの履歴やフロントや管理員が交代してしまうことによる実質の仕様の低下は避けられませんでした。

また、最近では住友不動産建物サービスの動きをきっかけにして、管理会社による管理宅業務費の値上げ提案も行われるようになり、場合によっては管理会社側から管理継続を辞退すことも増えてきています。

 

 

また、最近では、管理費を低く抑えてランニングコストを低く見せることで、マンション購入を促すために、グループ会社といえども、デベロッパーから管理会社に対する圧力が厳しく、時には過少仕様になっていることもありますので、注意が必要です。

 

ココに注意

そのため、管理開始から実はほとんど採算が取れていないものの、建設後すぐに委託業務費を値上げすることは憚られるということから、値上げの提案を差し控えている管理会社もあります。

 

3-2 人件費高騰に伴うマンション管理委託業務費の利益率の悪化

昨今のマンション管理員や清掃員をはじめとする採用難、人件費の高騰から以前と同じ管理委託業務費でも利益率が下がり、収益を圧迫しています。

 

 

3-3 マンションの新築供給戸数の減少

2000年代前半には年間の新規供給戸数が15万戸以上(時には20万戸以上)でしたが、リーマンショックを機にぐっと市場は冷え込み、近年は10万戸にも届きません。

単純に言えば、これまでは新築で建てたマンションの分だけ自然と市場が拡大してきましたが、成長は鈍化し、さらに競争にさらされやすくなってきています。

 

3-4 マンションの専有部サービスの限界

大手管理会社を中心に専有部の管球交換や水回りの点検等の専有部サービスを普及させようという動きがありました。

しかし、管理組合との一括契約で支払うという方法には疑問点や管理組合会計として支払い余力がある管理組合も限られており、思ったより普及しませんでした。

 

 

まとめ マンション管理組合と管理会社は利益相反関係か?

利益相反という観点から管理組合から管理会社への工事発注について記載しましたが、世の中、何をしても反対する人たちはどうしても一定数います。

何を重視してどのような決定をするかが重要であり、誰かがやらなければいけない決定を、管理組合役員として偶然めぐりあわせで就任した時期に判断をしなければならないこともあります。

 

問題を先送りして良いことはありませんので、皆様が意志を持って取り組めば良いと思います。

今回の記事がその判断の材料として役立てば幸いです。

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