目次
1.マンション管理組合の法人化とは?
マンション管理組合を法人化するということは、区分所有法第47条に規定された法人登記をした管理組合のことです。
通常管理組合は、法人格の無い組織で、「人格のない社団等」として扱われます。
その組織を一定の手続きを経て法人化することを「管理組合を法人化する」と表現します。
この法人化した管理組合は「公益法人等」として扱われ、「マンション名+(団地)管理組合法人」、「(団地)管理組合法人+マンション名」として表現する必要があります。
株式会社の前㈱、後㈱のようなものと認識すれば理解しやすいかもしれません。
なお、2018年(平成30年)のマンション総合調査では、13%の管理組合が法人化をしているとの結果で、概ね戸数が一定数(100戸)以上の方が、法人化率は高い傾向となっています。
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2.マンション管理組合を法人化するメリット
正直なところ、法人化してもしなくても管理組合運営に大きな違いが生じることはありませんし、役員の負担感もそこまで大きくは変わりません。
では、どのような状況の管理組合が法人化をすべきなのでしょうか。
まとめると次の項目をメリットとして捉えることができる管理組合や、その行為を行う可能性の高い(もしくは直近で行う予定)管理組合です。
2-1 所有行為に関して法律関係が明確化できる
法律上様々な解釈をされ曖昧な点がある管理組合ですが、法人化することにより、登記名義人となることができます。
また、このことにより、管理組合の財産と、理事長個人の財産との区別を明確に分けることができます。
☑マンション内に駐車場が足りない時に、隣地の空き地を購入し、マンションの駐車場にするといったことを名義人として行うことができる。
☑マンションの一室を購入したうえで、名義人として所有し、そこから賃料を得るような、管理組合を経営的目線で運営することができる。
☑不動産以外にも銀行口座や電話加入権なども管理組合法人名義で保有できる。
※一般的に銀行口座は「●マンション管理組合 理事長名義」として作成しますが、これ自体は問題ありませんし、理事長に何かあったときでも個人財産として差し押さえを受ける等のリスクはありません。
※一般的に銀行口座は「●マンション管理組合 理事長名義」として作成しますが、これ自体は問題ありませんし、理事長に何かあったときでも個人財産として差し押さえを受ける等のリスクはありません。
2-2 訴訟を管理組合法人の名義で提起できる
管理組合と住民とのトラブルは、管理費、修繕積立金等の滞納、管理規約違反に基づく法的措置等、多くの管理組合で悩みのタネとなっています。
管理組合を法人化することで、調停や訴訟等の法的措置の実行がよりスムーズにできるようになります。
また、訴訟継続中に理事長が交代することにより、訴訟手続きが煩雑になることや、訴訟中断の事態を避けることができます。
さらには法人化をしていない場合、理事長個人が権利義務の主体となって行わなければならないことが多い中、理事長個人がトラブルの前面に立つようなことをしなくてよくなるため、理事長個人の精神的負担を軽減することができます。
3.マンション管理組合を法人化するデメリット
次はデメリットを確認します。
3-1 事務手続きの負担
役員が交代する度に登記事項の変更が必要となります。
これには理事長(代表理事)の実印を用意することや管理規約を用意することなど、手間がかかります。
3-2 登記手続きや法人住民税等の費用負担
登記事項の変更は司法書士に依頼することが、間違えることなく円滑に進める方法であり、それには一定の費用がかかります。
また、法人住民税等が必要となりますが、減免申請を行うことにより一部税金が免除にできる行政があります。
詳しくはお近くの自治体窓口にて確認をしてください。
3-3 財産目録・区分所有者名簿の備え付けの義務
区分所有法第48条の定めにより、財産目録の作成と区分所有者名簿の備え付けが義務付けられています。
標準的な管理組合運営を行っている場合、両方とも自然と作成されるものですが、注意が必要です。
3-4 過料を科せられる恐れ
次のような場合、20万円以下の過料が科せられます。
・必要な登記を怠ったとき
・財産目録の作成をしなかったとき
・管理規約等の保管を怠ったとき…etc
まとめ マンション管理組合の法人化のメリット、デメリット
目的がないまま法人化することは、手間も費用も増えるだけですので、お勧めしません。
メリットに記載したようなことを目的とし、管理組合で十分に議論をしたうえで法人化すべきと考えますので、今回の記事が参考になれば幸いです。