管理規約

マンションの管理規約の違反者への対応方法と手順~罰則規定は必要か?~

管理規約の違反者と話をする理事長
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管理規約はマンションにおける法律のようなもので、所有者だけでなく居住者も対象にしており、安心、快適にマンション生活を過ごすためのルールが定められています。
 
 
アシスタント
もし、管理規約に違反したらどうなりますか?

 

管理組合としては、管理規約に基づいた対応と、状況によっては区分所有法に基づく対応が可能になります。
ふどみつ

 

アシスタント
区分所有法…つまり法律に基づくということは罰せられるということでしょうか?

 

一番厳しい手段として強制的に部屋を競売にかけることができる規定もあります。
ふどみつ

 

このやりとりのように競売という方法まで取ることができる管理規約の違反者の対応に関し、管理組合としてどのように対応すべきでしょうか。

 

また、違反者に区分所有法とは別に罰則規定を設けることについて、どのような規定や考えを参考にするべきかといった情報をお届けします。

こんな方におすすめ

  • 現在マンションに管理規約の違反者がいて、解決するための対応を検討したい方
  • 管理規約の違反者に罰則を与えることを検討したい方
 

 

 

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1 マンションで代表的な管理規約の違反事項

管理規約の多くは国土交通省が公表している標準管理規約を参考に作成されており、管理規約の違反事案として、トラブルの原因になる多くは次の事項です。

 

よくある管理規約違反

  • 管理費や修繕積立金等の滞納
  • バルコニーの使用(禁煙や物置の設置等)
  • ペットの飼育(飼育禁止マンションでの飼育。共用部に放すといった飼育マナー)

 

そして、理事会で規約違反に関する議題が上がったとき、当然、理事会として対応を検討するのですが、「違反者に罰(ペナルティ)を与えたい」との意見や、今後のことについて「再発防止のために罰則規定を設けたい」という人が出てきます。

 

概要 区分所有法57~60条

この規定を実行するにはいずれも総会の決議が必要です。

状況によっては、管理組合が行う手続きにより区分所有権をはく奪したり、部屋を引き渡す措置が可能になるという規定です。

          

第57条(差し止め請求)

⇒ 騒音を止めさせる、バルコニーに置いている荷物を撤去させる等。

              

第58条(専有部分の使用禁止)

⇒ 第57条の請求では解決できないときに専有部分を一定の期間使用禁止にする。

            

第59条(区分所有権の競売)

⇒ 本人の意志に関係なく強制的に競売にかける。

              

第60条(占有者に対する引渡し)

⇒ 専有部分を賃借している占有者に関し賃貸借契約の解除・専有部分の引渡しをさせる。

 

このように区分所有法の規定に基づき、管理規約の違反者に対して一定の厳しい措置は可能となります。

 

一方で、日本はアメリカのように訴訟社会ではありません。

 

また、同じマンションに住む者同士、このような「出るとこ(裁判所)に出て決めましょう」ということは避けたいものです。

 

この段階にたどり着くまでに違反者への対応と今後の再発防止は重要なのですが、効果がないことをしても意味がありませんので、対応方法や考え方を確認していきます。

 

 

2 マンション管理規約の違反者への対応方法

管理規約の違反行為が発覚したときには、必ずご自身のマンションの管理規約の規定に立ち返ることが大切です。

 

国土交通省が発表している標準管理規約をベースに考えると、第66条(義務違反者に対する措置)と第67条(理事長の勧告及び指示等)に基づき、理事会にてどのように判断して対応するかが焦点となります。

 

理事会の目的は「管理規約を遵守してもらうこと=違反行為をやめてもらうこと」となるので、同じマンションに住む者同士として、初めから強硬に区分所有法第57~60条に基づく対応を目標に話しを進めることはお勧めできません。

 

話しがこじれないようにするためには、次の手順を参考にしてみてください。

 

管理規約違反の対応ステップ

  • 管理規約の違反者に是正の注意を促す
  • 注意により解決できない場合
  • ここで解決したい・法的措置前の最後の壁
  • 最終手段 法的措置を講じる

 

2-1 ステップ1 管理規約の違反者に是正の注意を促す

マンション管理規約の違反者に注意を促す

 

まずは、直接にせよ、文面にせよ、管理規約の違反者に柔らかく管理規約違反の事実を伝え、注意を促します。

 

そのうえで違反の状況はいつ頃改善されるのかという見通しを確認します。

 

ここで違反者から明確な是正の時期が示されれば、後はその期日まで待つだけです。

 

期日通りに是正されればほっと一息ですね。

 

サッカーで言えばイエローカードの段階です。

 

2-2 ステップ2 注意により解決できない場合

管理規約の違反者から返事がない場合や、期日通りに是正されなかった場合、次のステップに移ります。

 

次のステップでは管理規約第67条に定められた、理事長からの勧告を行います。

 

勧告の注意ポイント

勧告は今後のトラブルの発展(法的措置)を想定し、書面で行います。

 

また、書面には管理規約に基づく理事長の勧告であることを明示します。

 

そして、是正期日を設け、その期日通りに対応がされない場合は、法的措置に移行することを示唆します。

 

2-3 ステップ3 ここで解決したい・法的措置前の最後の壁

ステップ2まで進めて事態が進展しないとなると状況は深刻です。

 

極力トラブル(裁判等)にならないように、もう一度、手順1や2を繰り返すべきと言われる人も出てきますが、あまり効果はないでしょう。

 

そうなると法的措置を講ずるための準備を進めます。

 

法的措置を講ずる前の最後の壁

部屋番号・氏名を記載した総会に上程する議案の案文を作成し、「この議案を総会に上程するので、全戸に配付する予定ですよ」と案内すると、状況が改善する場合があります。

 

2-4 ステップ4 最終手段 法的措置を講じる

マンション管理規約の違反者に法的措置を講ずる

 

実行する法的措置の内容に応じて、理事会や総会の決議を行い、法的措置を講じます。

 

理事会決議か総会決議か?

区分所有法第57~60条に基づき対応することは総会の決議が必要ですが、標準管理規約第60条のように管理費等の滞納に関して少額訴訟を実施する場合は、理事会決議で可能という規定もあります。

 

ここまでくれば弁護士(少額訴訟は有償ですが管理会社で手続きを全て行う場合もあり理事長が当日裁判所に出向き簡単な質問に答えるだけ)に任せる段階なので、粛々と進めるだけです。

 

過去の経験で、何十回も書面、面談を繰り返し解消することができなかった管理費等の滞納が、総会に上程され、裁判になると分かったときから、急に振り込みが始まり、100万円の滞納が解消されたことがありました。

 

 

区分所有法第57~60条 ⇒⇒⇒「表示する場合ここをクリック」

区分所有法第57条~60条

第七節 義務違反者に対する措置
 
第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第1項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
4 前3項の規定は、占有者が第6条第3項において準用する同条第1項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。
 
第58条(使用禁止の請求)
 前条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第1項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数でする。
3 第1項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
4 前条第3項の規定は、第1項の訴えの提起に準用する。
 
第59条(区分所有権の競売の請求)
 第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
2 第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3 第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。
 
第60条(占有者に対する引渡し請求)
 第57条第4項に規定する場合において、第6条第3項において準用する同条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
2 第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、第58条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3 第1項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。

 

標準管理規約第66・67条 ⇒⇒⇒「表示する場合ここをクリック」

標準管理規約 第66条、67条

第66条(義務違反者に対する措置)

区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。

第67条(理事長の勧告及び指示等)

区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。

2  区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。

3  区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。

一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること

二  敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること

4  前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。

5  前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。

6  理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する。

 

 

 

3 管理規約の違反者に区分所有法とは別に罰則規定を設けることの本質

個々のマンション管理規約に罰則規定を設けることができるか?との問いへの答えは、「できる」です。

 

しかし、想像してみてください。

 

前述したステップで対応して違反状況が解決しないような方に、罰則を設けても意味があると思いますか?

 

罰則規定として設けたいという意見で多いのが罰金です。

 

管理費等の滞納者であればそもそも「罰金を払え」ということ事態がナンセンスですよね。

 

また、どのように徴収するのか?といったことや、禁煙とされているバルコニーでの喫煙やペット飼育の違反の実態を、いつ、誰が、どのように証拠を残して、罰則を適用していくのかといったことも悩ましい課題です。

 

さらに罰則規定が管理機違反の抑止効果になるのか?といったことも考えなければなりません。

 

考えるべき罰則規定の効果

法律や公序良俗に違反しない範囲では、罰則規定も設けることは有効な管理規約となります。

しかし、上記のことからも、罰則規定を定めることの有効性事態があまり意味のないものと言えます。

 

 

 

まとめ 管理規約の違反者に罰則規定を設けることについて

管理規約に罰則規定を設定したいという方の気持ちはわかります。

 

しかし、管理規約や罰則規定を定めることの本質として、実際にはどのような影響をもたらすかを立ち止まって考えていただきたいです。

 

そのうえで、効率的かつ実効性のある判断をしていくことが、よりよい管理組合運営に繋がります。

 

この記事が管理規約の違反者の対応に悩んでいる方々のお役に立てば幸いです。

 

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