マンション管理組合 役員(理事・監事)

マンション管理組合理事役員の辞退に関する役員協力金の考え方

マンション管理組合の理事就任を辞退するためにお金を用意する様子

 

【こんな悩みを解決したい】

  • マンション管理組合で理事役員に就任しない人が増えている
  • 理事役員に就任しなかった人から協力金を徴収したい
  • 賃貸に出している、外部に住んでいる所有者が多く理事役員のなり手が少ない

 

管理組合の理事役員のなり手が少ない場合や外部に住む区分所有者が多い場合、特定の人に管理組合活動の負担が偏ります。

 

この対策として、理事役員に就任しない人から協力金を徴収するマンションが増えています。

 

しかし、徴収することの目的や本質を間違うと管理組合運営に支障をきたすことになりかねません。

 

本記事では協力金を徴収することに関して、最高裁の判例も紹介しながら、その是非について考えてみます。

 

5分程度で読むことができますので、最後までお読みいただけると幸いです。

 

 

1 マンション管理組合の理事役員は面倒なだけか?

管理組合の理事役員に就任するとプライベートな時間を取られて面倒といったことや、そもそも管理組合活動に協力する気もないという方が多くいます。

 

確かに、役員はボランティア活動と言われることもあります。

 

しかし、マンションの資産価値を上げるための活動や、そこで知り合う人々、身に付けることができる知識や経験は決してボランティアのような見返りを求めない無償奉仕ではなく、自分のために返ってくることが多いものです。

 

役員に就任する機会が訪れたときには、積極的に関与されることをお勧めします。

 

 

2 マンションの理事役員就任に関するペナルティ(協力金・辞退金)の考え方

管理規約に基づき罰則・ペナルティをイメージさせる写真

 

管理組合活動に積極的に関与している方からは、役員を辞退して管理組合活動に協力しない方にはペナルティを課すべきとの意見があります。

 

また、辞退した方が担うべき役割を他の方が担うことになるので、負担を免れることに対して協力金を支払うべきという観点から、名称は何にせよ「辞退金・協力金」を徴収すべきとの考えがあります。

 

一方で、辞退する人からすると、お金を払うので別のやる気のある人に任せたい、高齢等により協力はできないが、その代わりに辞退金を払って辞退したいという人がいます。

 

ではこのような考えに対して、管理規約に協力金や辞退金を設定することは可能かどうか、参考になる判例を紹介します。

 

 

3 マンション内でのペナルティ(役員協力金)に関する最高裁の判例

判例を紹介するための裁判所のイメージ写真

 

2010年(平成22年)1月26日に最高裁判所にて、中津リバーサイドコーポ管理組合に関して、所有する部屋を賃貸に出す等、マンションの外部を生活の本拠としている「外部区分所有者」に対し、管理費とは別に「住民活動協力金」の名目で月額2,500円(年額3万円)の協力金徴収を定めた規約は有効であるとした判決が出ました。

 

この判決はあくまでもマンションに住んでいない方への協力金としての名目でしたが、協力金・辞退金の規定を検討する際には、その金額設定、根拠として十分に参考になるかと思います。

 

判決の判断軸

  • 外部区分所有者は全体の約20%に達している。
  • 月額2,500円の負担は管理費等の全体金額に対して15%増でしかない。
  • 世帯数が800を超えており、管理組合活動には各区分所有者の協力が不可欠。
  • 外部区分所有者は役員に就任せず日常的な労務の提供をするなどの貢献がない。
  • 居住している区分所有者は管理組合運営に協力しているが、外部区分所有者はその利益だけを享受している。

 

これらを総合して、外部区分所有者が受ける不利益は受忍限度を超えるものとはいえず、特別の影響もないため、不利益を受ける本人の同意を得る必要はなく、住民活動協力金を管理規約に設定することは有効であるとの判決になりました。

 

なお、上記のような個別事情も考慮して、最高裁の判例では特別の影響がないと判断されています。

 

そのため、個別事情によって「特別の影響を及ぼす」かの程度が変わると考えれるため、一概に協力金が徴収対象になる方からの承諾なしに管理規約の変更ができると確定されるものではありません。

 

+ ⇒⇒⇒ 区分所有法 第31条(規約の設定、変更及び廃止)を確認

1.規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
                        

2.前条第2項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

 

 

4 理事役員の辞退にペナルティを規定する際に考慮すべきこと

もし、管理規約に協力金や辞退金を設定する場合には、金額の基準は最高裁の判例を参考にすれば良いと思いますが、その他、次のことを考慮しておくことをお勧めします。

 

4-1 役員の就任を辞退する者に特定の辞退理由を認めるか?

特定の辞退理由を認める場合のポイント

  • 高齢や健康上での辞退理由を認めるか?
  • 辞退を認める場合には診断書や身分証明書の提出を求めるか?

 

 

4-2 役員に就任したものの理事会に出席しない者の対策をどうするか?

理事会欠席者の対策のポイント

  • 役員に就任して理事会には出席せずに協力金・辞退金を支払わずに済まそうとすることを防ぐために、役員に就任後の理事会への出席率に一定の基準を設けておくか?
  • 基準を設ける場合は、健康上の理由等、出席率が一定の基準以下になった役員に対して、救済措置を認めるか?

 

救済措置が必要となるケース

理事会開催日程を調整するときに、本人が別日程であれば出席できるという状況において、その他役員の出席状況を優先し、別日程での開催としたときに、出席率が一定の基準以下となり、そのことによってペナルティが課されることになるような場合です。

 

 

 

まとめ マンション理事役員を辞退することに関する協力金の考え方

本記事のまとめ

  • マンション管理組合の理事役員は面倒なだけか?
  • マンションの理事役員就任関するペナルティ(協力金・辞退金)の考え方
  • マンション内でのペナルティ(役員協力金)に関する最高裁の判例
  • 理事役員の辞退にペナルティを規定する際に考慮すべきこと

 

協力金・辞退金を管理規約に規定する際には、決してお金を集めることやお金を払えば辞退できるという制度を作成のために規定するのではありません。

 

多くの方が管理組合活動に関心を持っていただき、どうしても協力できないという方が、どのように管理組合活動に協力をしていただくかを検討したときに、理事会として結論付けた一つの考え方から導き出した規定であることを繰り返しお伝えする必要があります。

 

本件については様々な考え方があると思いますので、同じマンションに住む者同士が争わずに済むように、それぞれの管理組合の状況に応じた検討材料の一つになれば幸いです。

 

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