



こんな方におすすめ
- ディスポーザー付きのマンションを購入するか悩んでいる方
- ディスポーザー設備のメリット・デメリットを知りたい方
- ディスポーザー設備の維持管理・交換費用を知りたい方
- 管理組合の理事長・理事・修繕委員等を担っている方
- 管理費会計、修繕積立金会計、長期修繕計画の見直しを行いたい方
目次
1 ディスポーザーとは?
ディスポーザーとは、台所のシンク下に設置されていて生ゴミを粉砕してくれる便利な設備です。
生ゴミを溜めておくことがなく衛生的であり、また、生ゴミをゴミ捨て場に捨てに行く手間を省けるため、この10年ほどでマンションでは人気設備の一つとなりました。
ディスポーザーを利用している人は、その便利さから、今後引っ越しを考えたときにディスポーザーが無いマンションに住むことは考えにくいと思います。
ただ、あまり使用しないという方や使用したことが無いという方にとっては、本当に必要な設備なのか、メリット・デメリットや必要な交換費用等を知ることで、判断できる情報をお伝えしたいと思います。
流してはいけない生ゴミに注意
生ゴミを粉砕する便利な機器ですが、たまごの殻など、流してはいけないものがありますので、取扱説明書をしっかり確認して使用してください。
2 ディスポーザーのメリット・デメリット
ディスポーザー設備のメリット・デメリットをまとめてみました。
簡潔に言えば、「便利さを求めれば費用がかかります」といったところでしょうか。
感じ方は異なると思いますので、考え方の整理に役立ててください。
2-① ディスポーザーのメリット
ディスポーザーのメリット
- ゴミ出しが楽
- 虫がわきにくい
- 排水口が汚れにくい
- 生ごみの臭い、処理に悩む必要が無い
- 三角コーナーや排水口のネットが不要
2-② ディスポーザーのデメリット
ディスポーザーのデメリット
- 修理や交換費用が必要
- 作動音が気になることがある
- 定期的なメンテナンスが必要
- 故障時には業者を手配する必要があり一定期間使用できない場合がある
- 共用部分のインフラが必要となるためマンションでは後付けができない
- 共用部分にあるディスポーザー設備の維持管理や交換費用は管理費や修繕積立金から支出される
3 ディスポーザーの維持管理・交換に必要な費用
分譲時にディスポーザーを設置するために共用部分に分解処理層を設置することや各戸への機器の設置が必要なため価格が嵩むという前提がある中、設備の維持管理・交換には、専有部分(個人負担)と共用部分(管理組合負担)に関して大きく二つの区分があります。
専有・共用部の費用負担の区分
- 専有部分:定期的な設備の交換費用、応急的な処置費用
- 共用部分:毎月必要となる保守点検費用、生ごみや流してはいけないごみ(ビニールの破片等)を分解しきれずに処理層に溜まってしまう汚泥の引き抜き費用、雑排水管清掃費用、定期的なポンプ等の設備の交換費用等
4 ディスポーザーに関する専有(個人負担)・共用部分(管理組合)にかかる維持交換費用
規模の異なる3つのマンションの例を参考に、維持管理・交換費用の比較をしてみました。
4-① 専有部分にかかる費用
専有部分の機器はマンション規模に関係なく基本的は変わらないので、同じ単価で算出しました。
ココがポイント
結論として専有部分は、マンションの大きさに関わらず月額840円の負担となると考えることができます。
その他、応急処置で業者を手配すれば、出張費として概ね15,000円~20,000円程度が必要となり、部品交換が発生すればさらに費用がかかります。
そのためには10年程度で交換というより、予防保全の兼ね合いで8年程度を経過すれば、事前に交換しておく方が出張費もかからず、慌てなくてもいいのでお勧めだとも言えます。
なお、機械ものなので10年より早く壊れる場合もあれば、12年、13年と長持ちする場合もあります。
メーカー制限に注意
アマゾン等でディスポーザーが販売されています。
しかし、マンションでは指定のメーカーの物を使用する必要があったり、アフターメンテナンスを考えると管理会社等によるマンション内での一括交換のキャンペーンを利用すると費用を抑えることができる場合があります。
世帯数 | 専有部のディスポーザー交換 10年に1度発生 |
世帯当たり 月額負担 |
|
A | 60戸 | 100,000円 | 840円 |
B | 220戸 | 100,000円 | 840円 |
C | 480戸 | 100,000円 | 840円 |
故障の原因と対処方法
- 詰まり
入れてはいけない物を入れると詰まりの原因となります。
取扱説明書をしっかりと読んでおかないと無駄な出費に繋がります。
詰まってしまった場合は、ポンプを使って吸引する方法等がありますが、無理はせずに修理を手配しましょう。
- 噛み込み
スプーンや糸などを入れて使用すると動かなくなります。
特にスプーン等の金属は、投入口と同色であるため気づきにくいことがあります。
場合によってはディスポーザー本体を取り外す必要もありますので、無理はせずに修理を手配しましょう。
- 水漏れ
パッキンの劣化、ネジのゆるみが原因で起こります。
パッキンの交換やネジを増し締めで解決できますが、経年劣化に加え、自分で設置した場合に起こりやすいトラブルです。
4-② 共用部分にかかる費用
結果としては、規模の大きいB・Cマンションでは月額の世帯当たりの負担金額500~600円前後であり、Aマンションは1,230円と規模が大きい方が世帯当たりの月額負担を抑えることができる傾向が読み取れました。
よく言われる規模のメリットが顕著に出た結果です。
規模のメリット
規模が200戸を超えてくれば世帯当たりの月額負担額は500~600円程度に抑えることができますが、規模が小さい場合には倍以上の費用負担となることが読み取れます。
※1ディスポーザーが設置されているマンションにおける負担すべき費用の差額を計算した表です。
5 ディスポーザーに関する専有部分・共用部分の維持管理・交換の費用負担の合計
算出した費用を合計すると、ディスポーザー設備を持つマンションに住むことによって、30年間の累計では50万円以上の費用負担は覚悟する必要があることがわかります。
なお、月額負担にすると1,340円~という結果ですので、これを安いと考えるか、高いと考えるかはあなた次第です。
世帯数 | 月額負担 | 年額負担 | 30年累計負担 | |
A | 60戸 | 2,070円 | 24,840円 | 745,200円 |
B | 220戸 | 1,420円 | 17,040円 | 511,200円 |
C | 480戸 | 1,340円 | 16,080円 | 482,400円 |
まとめ マンションにディスポーザーは必要?
ディスポーザー設備の設置にはマンション内に処理層等の専用の設備の設置が必要となり、基本的には竣工時から設置されていなければ、後付けができません。
最近分譲されるマンションでは設置されているマンションが増えましたが、維持管理費用やご自身が使用する頻度等を考え、本当に必要な設備かどうか、考えてみてください。
なお、設置されているマンションを購入した場合において、ディスポーザーを使用しないからといって、共用部分に関する維持管理費用を払わないということはできませんのでご注意ください。
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