マンション管理組合

マンション管理組合と管理会社の違いを役割から丁寧に解説

ボードにマンション管理組合と管理会社の役割の違いを記載する様子

 

マンション管理組合と管理会社を混同している方や、そもそも分譲マンションと賃貸マンションの性質の違いがわからず、管理会社に求めるべきことを間違えている方は多いです。

 

間違った認識のままいると、問い合わせをしたときなど、双方にストレスがかかってしまい、結局はあらぬクレームに繋がり、関係者が疲弊します。

 

そのようなことがなくなるように、本記事ではそれぞれの役割を紹介します。

 

こんな方におすすめ

  • マンション「管理組合」と「管理会社」の役割の違いを知りたい方
 

 

 

1 マンション「管理組合」と「管理会社」の違い

マンション管理組合と管理会社を混同しており、違いがわからない人は多いです。

 

また、分譲マンションの管理会社を賃貸マンションの管理会社のような役割と思っている人もいます。

 

そのため、管理会社に「自宅の鍵を無くしました。各住戸の鍵を保有していると思うので、鍵を開けてください。」といった連絡がはいることもあります。

 

管理会社によってはセキュリティ会社と連携して鍵預かりサービスを提供していることもあります。

 

しかし、実質的にはセキュリティ会社が管理会社では取り出すことのできない場所(管理事務所の中の専用の鍵BOX等)に鍵を保管しており、管理会社としては鍵を取り扱うことはありません。

 

この状況を正確に把握しないことで問い合わせをした方もされた方も、双方にストレスがかかってしまいます。※居住者の勘違いからクレームになってしまうこともあります。

 

それでは、管理組合と管理会社の関係と違いを理解し、適切な相談窓口はどこであるかということを認識いただくことで、組合運営や実生活をよりストレスなく過ごすことができることを願って、それぞれの役割を紹介します。

 

 

2 「マンション管理組合」の役割を解説

マンション管理組合は、マンションの購入者である区分所有者によって構成される団体です。

 

このマンション管理組合という組織は区分所有法に定められており、区分所有者である以上、その意志に関わらず、必ず加入することになります。

 

なお、この管理組合を脱退するときは区分所有者でなくなるときだけです。

 

管理組合の加入・脱退

つまりマンション管理組合に自分で好き勝手に「加入します」、「加入しません」ということを決めることができないということです。

 

管理組合はマンション共用部分の維持・管理を目的とした団体であり、管理方針を決定し実行していく役割を持った組織です。

 

区分所有者全員が一度に集まることは難しいため、実質的に日々の管理組合運営を行う組織は、総会や管理規約で定めた範囲において理事会権限で決定、実施することになります。

 

そして、お部屋内である専有部分は、原則、管理組合の管轄外であり区分所有者がそれぞれその管理責任を担うことになります。

 

また、管理組合は各区分所有者から毎月管理費と修繕積立金を徴収して、共用部分の維持管理にどのように費用をかけていくのかを判断します。

 

区分所有者の中には、毎月の管理費や修繕積立金が管理会社に支払われていると思っている人がいます。

 

しかし、正確には毎月徴収した中から、管理会社に業務を委託する部分のみの対価として、一部が管理会社に支払われているという構成です。※管理費からは委託業務費以外にも共用部分の電気代や水道代も支払われます。

 

なお、管理組合(区分所有者)だけでは共用部分の維持管理を適切に行っていくことはかなり難しいことです。

 

そのため、管理組合の一部業務を管理会社に委託することが一般的であり、管理組合(一部業務を委託する側)=管理会社(一部業務を受託する側)という関係です。

 

 

3 「マンション管理会社」の役割を解説

マンション管理会社は管理組合が決定した委託内容に基づき、業務を担います。

 

この委託内容に基づきというところがポイントであり、理事会や区分所有者としては、この内容以外の事案については、管理会社に求めることは筋違いということになります。

 

ただし、契約内容にはどうしてもグレーな部分があり、モンスタークレーマーの存在や管理会社が理事会や区分所有者に断りを入れることで予期せぬトラブルやクレームに繋がることもあり、このことで管理会社のフロントは疲弊するというケースが後を絶ちません。

 

管理組合の中には「自主管理」を行っているマンションがありますが、法律が複雑化しマンションを取り巻く各種課題が顕在化してきている中では、「自主管理」を継続することは難しいでしょう。

 

そして、国土交通省が発表している管理組合と管理会社が委託契約を締結する際のひな型である「マンション標準管理委託契約書」では、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物設備管理業務の各種業務が定められています。

 

これはあくまでもひな型であり、どの業務を管理会社に委託するかは管理組合が決めることとなります。

 

例えば、隣あっている二つのマンションにおいて、Aマンションでは建物設備管理業務としてエレベーター点検を管理会社に委託して実施している場合(この場合の多くは管理会社からエレベーター会社への再委託)があります。

 

一方でBマンションでは管理組合が管理会社を通さずに直接エレベーター会社と契約を行っており、管理委託契約の内容に建物設備管理業務が含まれないといった違いが出る場合もあります。

 

標準管理委託契約書の委託内容

☑事務管理業務

管理組合の収支決算案や予算案の作成。管理組合会計における出納業務。理事会、総会の支援業務。

☑管理員業務

管理会社が管理員を派遣して定められた時間に応じて、受付や点検等の立ち合いを行う業務。

☑清掃業務

ポリッシャー等の専門用具を利用した機械清掃を行う業務。

☑建物設備管理業務

エレベーター、機械式駐車場の点検業務。

※参考:国土交通省 マンション標準管理委託契約書

 

 

まとめ マンション「管理組合」と「管理会社」の違い

本記事のまとめ

  • マンション「管理組合」と「管理会社」の違い

  • 「マンション管理組合」の役割を解説

  • 「マンション管理会社」の役割を解説

 

マンション管理組合と管理会社の大まかな違いはご理解いただけましたか?

 

権利関係を間違うことにより、問い合わせを受けた方も困惑しますし、その間違いを修正することは、顧客と委託を受けている側ということで、どうしても難しい部分が残ります。

 

正しい状況をご認識いただくことで、管理組合運営そのものが円滑なものとなりますので、今回の記事が皆様の役に立つことがあれば幸いです。

 

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