大規模修繕

マンションの大規模修繕で不適切コンサルに騙されないための対策

大規模修繕工事の不適切コンサルが言葉巧みに指南をしている写真

 

アシスタント
マンションの大規模修繕工事を実施するときに不適切なコンサルタント業務を実施するコンサルに注意しなければいけないって本当ですか?

 

そうですね。国土交通省も注意を促しているように格安のコンサル料に騙されて結果として、払う必要のない費用を何百万円も支払ってしまうマンション管理組合があります。
ふどみつ

 

衝撃的なやりとりから入りましたが、本記事では、目先の格安のコンサル料に騙されて、実は何百万円も無駄な費用を払うことが無いように、大規模修繕工事のおけるコンサルティング業務の内容と不適切コンサルの手口を紹介します。

 

こんな方におすすめ

  • 不適切コンサルの対策を講じたい方
  • マンションの大規模修繕工事を公正に実施したい方
  • 大規模修繕工事のコンサルタント業務の発注先を検討している方

 

 

 

 

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1 マンション大規模修繕の不適切コンサルタント問題

2017年10月にNHKのクローズアップ現代+で、「追跡! マンション修繕工事の闇 狙われるあなたの積立金」という報道がありました。

 

これは国土交通省が発表した不適切コンサルの存在を追求した特集でした。

 

不適切コンサルとは、国土交通省の発表では、設計コンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や、過剰な工事項目・仕様の設定等に基づく発注等を誘導します。

 

この操作を行うために、格安の料金でコンサルタント業務を受託し、結果として、マンション管理組合に経済的な損失を及ぼす事態のことを指すとしています。※国土交通省の報道・広報を参考にしてみてください。

 

難しい言葉が並んでいますが、要するに、大規模修繕工事を実施するときに依頼したコンサル会社が管理組合からコンサルタント料を受け取るだけでなく、裏で自社が儲かるように管理組合に黙って、工事業者からバックマージンをもらうという問題です。

 

 

2 大規模修繕工事におけるコンサルタントの役割

マンションの大規模修繕工事の様子

 

コンサルタントの役割

  • マンションの劣化状況を把握する
  • 共通の見積書を取得するために工事仕様書を作成する
  • 大規模修繕工事を実施する施工会社を公募する
  • 大規模修繕工事の施工会社を選定する

 

2-1  建物調査診断を実施してマンションの劣化状況を把握する

大規模修繕工事のファーストステップは建物劣化状況を正確に把握することから始まります。

 

この診断業務は、いつ大規模修繕工事を実施すべきかを判断することと、後述する見積もり依頼を行うために重要な調査となります。

 

2-2  共通の見積書を取得するために工事仕様書を作成する

大規模修繕工事はその工事の規模、金額から言って、例えば窓ガラスが割れたので新しいものに交換してください。といったように簡単に依頼できるものではありません。

 

見積もりを依頼するには、次の観点が重要となります。

 

大規模修繕の見積り依頼の観点

  • どの範囲を?
  • どのような材料を使用し
  • どのように仕上げるか?

 

これらのことが決まっていないと、仮にA社とB社に見積もりを依頼しても、標準的な材料を使用して、範囲を狭くして1憶円の見積もりを提示したA社と、一方、長持ちする材料で広範囲にわたる施工範囲で1憶2,000万円の見積もりを提示したB社がいた場合、あなたならどちらに決めますか?

 

おそらく意見は分かれると思います。

 

このようなことが無いように、A社とB社を同じ土台で比較できるように、建物調査診断で建物の状況を正確に把握したうえで、上記観点が網羅された仕様書の作成が重要となります。

 

2-3  大規模修繕工事を実施する施工会社を公募する

作成した仕様書に基づき、施工候補会社に見積もりを依頼します。

 

見積もりを依頼する会社は区分所有者からの紹介、建通新聞やマンション管理新聞といった業界紙等を利用して公募するのが一般的です。

 

2-4  大規模修繕工事の施工会社を選定する

見積書が提出されましたら、各社の見積もりを比較し、施工会社を決定します。

 

仕様を統一して見積りを依頼していますので、当然金額が安価な方が良いという考えに流されやすいです。

 

しかし、実は大規模修繕工事を成功させるために重要なポイントの一つに現場代理人の存在があります。

 

代理人の役割は工事の進捗を把握し、気難しい人が多い職人たちを束ね、トラブルが起こればすぐに対応するといった役割を担います。

 

特にその中でも、職人を束ねる役割が重要で、職人の代理人への信頼が工事の出来を左右すると言っても過言ではありません。

 

では、大規模修繕工事の施工候補会社をどのような手順で選定するか紹介します。

 

step
1
一次審査

見積り前の書類審査 ⇒ 会社の規模、実績等から見積もりを依頼する会社を絞ります。

 

step
2
二次審査

見積り審査 ⇒ 提出された見積りから代理人を伴ったプレゼンテーションを依頼する会社を絞ります。

 

step
3
最終審査

プレゼンテーション審査 ⇒ 工事が始まったときに現場責任者となる代理人や会社の営業、工事部門の担当者等のプレゼンを受けます。

 

 

3 大規模修繕工事の不適切コンサルタントの手口

施工会社は公募しているから大丈夫と思われるかもしれませんが、経験豊富なコンサルタントほど、多くの現場で様々な工事会社と関わっています。

 

不適切コンサルの手口

これまでの付き合いで、マンションに提出する見積もりに自社へのバックマージンを上乗せするように指示をし、どこの会社に決まっても利益が見込めるようにマンション(理事会・修繕委員会)を誘導します。

 

そのため、マンション管理組合は、不適切コンサルに誘導されているにも関わらず、この実態に気づかず、金額が安価で良い工事会社を選ぶことができたという錯覚に陥ります。

 

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4 不適切コンサルからマンションを守る対策

大規模修繕工事にコンサルタントとして関わるには、まずは、建物診断を受託することが重要です。

 

これは一般的に建物診断を実施した会社が劣化状況を考慮した仕様書を作成し、その後も施工会社の選定にサポート役として関わるからです。

 

そのため、建物診断の見積もりをお願いしたときに、安価な値段で業務を受けるという会社は怪しいと思ってください。

 

特に複数社から相見積もりを取得し比較したときに、異様に安価な業者があることがあります。

 

しかし、多くのマンション管理組合では「なぜ高いのか?」を突っ込むことは多くても、「なぜ安いのか?」を深堀りすることはあまりされません。

 

不適切コンサルの対策

なぜ、建物診断、コンサルティング、工事監理費用を安価で抑えることができるのかを、一般的な単価や相見積もりを取得した他社と比較して深堀するだけでも、十分な対策となります。

 

管理組合の中には1円でも安い業者に依頼することを当然としているところもありますが、安かろう悪かろうといったことを理解する必要があり、結果として上乗せされた工事費がコンサルの利益になります。

 

コンサル料は、基本的には人件費を積み重ねた価格となります。

 

コンサル料は人件費の積み重ね

1級建築士等、それなりの資格、キャリアを持った方に業務を依頼することについて、その金額の妥当性を考慮し、依頼先を選定することにより、不適切コンサルの餌食になる確率はぐっと減らすことができます。

 

5 大規模修繕の不適切コンサルはマンション内部にも存在

大規模修繕工事に関してバックマージンを受け取る不適切コンサルに近い問題は、外部からだけでなく、マンション内部にも潜んでいます。

 

様々な報道で理事長や修繕委員が、自身にバックマージンが入るように業者選定を誘導し、マンションに不利益を及ぼしたということを見聞きされたことがあると思います。

 

管理組合役員や修繕委員は、本来なら自分たちの共有財産の価値を高めていく、また、維持していくために、プライベートの時間を費やして、活動されるはずです。

 

それが、「自分はこれだけ貢献したのだから一定のバックマージンをもらっても良い。その対価をいただいて当然である。」との考えから自身の行為を正当化し、自身の利益に走ります。

 

バックマージンを受け取ろうとする方には次のような特徴があります。

 

こんな役員・修繕委員には注意

  • 自分で業者を紹介する。
  • 特定の業者に肩入れをする。
  • 自分に一番早く情報が入るようにする。
  • 長年管理組合運営に関わっておりご意見番のようになっている。
  • 専門的知識をひけらかし、周囲の方が意見できない雰囲気を作り上げている。

 

不適切コンサルだけでなく、このようにマンション内部に潜む問題を背景に、近年では標準管理規約に利益相反取引の防止に関する条文が規定されましたので対策案の一つになります。

 

標準管理規約 第37条の2

利益相反取引の防止

役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。

 

 

6 補足 大規模修繕工事の利益に対する考え方

大規模修繕工事の工事会社は慈善団体ではなく、会社を運営していくために一定の利益が必要です。

 

管理組合役員の中には、「工事会社が儲けてはいけない、利益を開示しろ」という方が一定数います。

 

そのような話を見聞きする度に思うのが、「あなたはコンビニで物を買うときにその利益の開示を求めますか?」と聞いてみたいです。

 

さすがにトラブルの元になるので聞いたことはありませんが…

 

また、不思議なことに見積もりを出している会社に「あなたの見積金額が妥当ということを証明してほしい。」と言われる方もいます。

 

自分がやったことを正しいと客観的に説明することは非常に難しいと思ってしまいます。

 

こういった姿勢からも見積金額が安価であることが仕事を受託できる最もわかりやすい方法だと思ってしまいます。

 

これらは区分所有者の方からなぜその会社なのか、価格は妥当なのかということを追求されることを想定し発言される方もいるとは思いますが、お互い気持ち良く業務を発注、受託する関係ができあがってこそ、良い結果(仕事)に繋がります。

 

人が動けば経費がかかります。

 

問題はどのような形で利益を出しているのか?ということであり、コンサル料や工事費用を支払う管理組合がプロセスも含め、しっかりと考えることで、不適切コンサルに騙される確率は少なくなります。

 

 

まとめ 大規模修繕の不適切コンサルに注意

大きなお金が動くところには利益を求めて多くの人が集まります。

 

その中でもマンションの大規模修繕工事は、マンション管理組合役員も面倒というイメージが強く、そもそも関わりたくない人が多いです。

 

その結果、言葉巧みに不適切コンサルのターゲットにされてしまいます。

 

不適切コンサルがこのような動きをとることの背景として、「自分たちの仕事はこれぐらいの価値がある。その対価をいただいて当然である。」との考えがあると思います。

 

また、自分たちが考える正当な対価を表立って提示すると建物診断が受託できないとのジレンマを抱えており、バックマージンでその対価を取り戻す方法を実行しているのではないでしょうか。

 

本記事が皆様の大切な資産であるマンションに関心を持っていただき、不適切コンサルから守る一助になれば幸いです。

 

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