くらしの話

事故物件の告知義務を知らないと損をする?法的背景をまとめてみた

事後物件を想定させる何者かにガラスが割られた画像
 
アシスタント
事故物件と知らずにマンションを購入する(住む)ことを避けたいのですが、知っておくべきことはありますか?
告知義務に関する宅建業法や不動産業界の慣例を知っておくと大きなトラブルを避けることができますよ。
ふどみつ
 

事故物件に関してこのような悩みを抱えている方は多いと思います。

 

はっきりとどのような場合が事故物件に該当するかが決まっているとトラブルは減るのですが、実は不動産業界として曖昧な部分を残しています。

 

そのため、あくまでも法律と実際のマイナスイメージを事例ごとに当てはめることにより、事故物件に該当するかを決めており、契約前のタイミングで告知していることが一般的です。

 

ネットでの情報が普及し、個人でも調べることができるようになり、トラブルは減少傾向ですが、今回は知らないと損をする事故物件の定義や告知義務をまとめてみました。

 

こんな方におすすめ

  • マンションの購入を考えている方
  • マンションを借りることを考えている方
  • 事故物件の告知義務の法的背景を知りたい方

 

 

 

1 事故物件を理解するために告知義務について知る

一般的に事故物件とは、次のように人の死に関係し、心理的瑕疵として扱われるケースが考えられます。

 

心理的瑕疵

  • 殺人、傷害致死等の事件があった物件
  • 事件性は無いような自殺があった物件

 

これらに加えて、事故物件とされるものには、次のようなケースも該当すると考えられています。

 

事故物件に該当

  • 建物が歪んでいる、土壌汚染、雨漏り、シロアリ被害、アスベストの使用等、建築上の瑕疵がある物件
  • 建築基準法や消防法等に違反している物件
  • 近隣に反社会的勢力(指定暴力団等)が住んでいるもしくは事務所がある物件
  • 近隣に騒音の大きい商業施設(パチンコ屋)がある、悪臭を放つ施設がある物件

 

ただし、「幽霊が出る・なぜか短期間に所有者、入居者がころころ変わっている」といった科学的、客観性の無い物件も事故物件と言われるケースがありますので注意が必要です。

 

なお、過去にその物件で居住者が死亡している場合でも、孤独死や病死、夜逃げした場合や人の生死に関係しないことで逮捕されたケース等、必ずしも事故物件として取り扱われずに、不動産として流通していることがあります。

 

 

2 事故物件の告知義務を宅地建物取引業法をもとに法的に理解

事故物件の告知義務を説明している様子

 

宅地建物取引業法第47条には、宅地建物取引業者が相手方(購入予定者・入居予定者)に対して、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為を禁止しています。

 

そして、その事実とは相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものと定めています。

 

また、宅地建物取引業者が相手方に情報を伝えるという行為は、これらの事項を記載した書面を交付して、宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)をして、説明をさせなければならないとされております。

 

宅建士の説明義務

この重要な事実の不告知等は、「故意」が要件となり、宅地建物取引業者が知らなかった情報で、結果として、相手方に不利益な情報が伝わらなかったとしても、この規定には違反しません。

ただし、重要事項説明をしなかった場合、そのこと自体が宅地建物取引業法違反となります。

 

さて、ここで「守秘義務」との兼ね合いが出てきます。「守秘義務」は業務上知りえた情報を他に漏らしてはいけないということです。

 

しかし、例えば、自宅を売却したいと依頼のあった方から、「近隣に反社会的勢力が住んでいるが、それを伝えると売れないと思うので、黙っていてほしい」と言われた場合はどうでしょうか。

 

この場合は宅地建物取引業者には、購入希望者に伝える正当な理由があると判断され、告知義務を負うことになるでしょう。

 

不動産の売買、賃貸は表向きの取引は完了してからも、その後トラブルに発展する可能性があります。

 

高く売りたい、貸したいという気持ちは当然ですが、トラブル無く、気持ち良く取引を終えるために、売却希望者は正しく事実を伝えるようにしましょう。

 

宅地建物取引業法第47条抜粋

宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの。

 

 

3 自殺があったときの事故物件の告知義務の期間は?

自殺があった場合、この先何年に渡っても購入・入居希望者に対して告知義務を負うことになるのでしょうか?

 

実態としては、個別のケースによって判断されていますので、売買の場合と賃貸の場合に分けてお伝えします。

 

3-1 部屋を売却する場合

自殺が起きたときには、5年程度は告知義務があると考えられています。

 

賃貸(2~3年程度)よりも期間が長くなっていますが、これは売却のほうが、契約の相手方に対する影響が大きいと考えられるからです。

 

3-2 部屋を賃貸に出す場合

自殺が起きたときには、2~3年程度は告知義務があると考えられております。

 

これが自殺ではなく殺人といった凶悪犯罪の場合には、さらに告知義務の期間が長くなると考えましょう。

 

また、賃貸の場合、事件や事故が起こった後の入居者が退去するなど、時間の経過とともに、複数回、賃借人が入れ替わっていくなかで、入居者が入れ替わると、告知義務がなくなると考えられています。

 

告知義務がなくなる?

これは例えば自殺が起こり、次に賃貸に出すときにはこの内容を告知しなければなりませんが、さらにその次の入居者には自殺のことを告げる必要がなくなるということです。

 

告知義務を有する期間は、必ずしも一律の基準によって判断されるわけではないので注意が必要で、賃貸の場合、3年の経過が必要とした判例もあるようです。

 

そして、飛ばし行為と呼ばれる、事故後すぐに短期間だけ入居者を居住させ、すぐに新たな入居広告を出す業者がいますが、この方法では告知義務違反を免れることは難しくなります。

 

しかし、実際には入居希望者が前入居者に直接確認をする手段はあまりなく、悪意を持った業者であれば、情報を隠してしまうことができてしまうことが実情です。

 

 

4 事故物件を調べることができる有名サイト~大島てる~

この記事を見ていただいている方はすでにご存じかと思いますが、過去の事故物件をマップにした有名なサイト~大島てる~です。

 

信頼できる宅地建物取引業者であればいいのですが、自己防衛のためにも購入希望・入居希望の方は、見ておいて損はありません。

 

 

5 事故物件の告知義務を無くす抜け道 情報の風化・飛ばし行為

何十年も前に心理的瑕疵に該当するような事故や事件があり、情報そのものが風化しており、現在の所有者・居住者がその情報を知らない場合があります。

 

この場合、後々、何かのきっかけで明るみになったときにトラブルに発展する可能性があります。

 

また、悪質な業者では前居住者の事故を隠すために、短期間のうちに複数回、居住者を交代させ、と平然と告知義務違反を行う宅地建物取引業者がいます。

 

このような悪徳業者に騙されないように情報収集を行い、自己防衛に繋げてください。

 

なお、騙そうとする悪徳業者の常套句です。

 

悪徳業者の常套句

前の居住者に確認したところ事故物件に該当するような事実は確認できませんでした。

 

 

まとめ 事故物件の告知義務

事故物件は購入・賃貸ともに市場価格の半値以下という場合もあることから、あえて事故物件を選ぶ人も増えてきていますが、一般的には避けられる傾向にあります。

 

情報の非対称性が強い不動産業界に対してあまり良い印象を持っていない方も多いと思いますが、法改正が進み、さらにはスマートフォン等で情報が取りやすくなった現在では、情報開示が進んでいます。

 

消費者が情報を入手する方法は増えてきていますので、予備知識を得て、物件選びをされることをお勧めします。

 

なお、宅地建物取引業者は心理的瑕疵に関する質問には慣れています。

 

失礼にあたるわけではありませんので、心配されるようでしたら正直に質問してください。

 

告知義務を見抜くための質問

心理的瑕疵に該当するような事実はありませんか?

 

本記事が望まず事故物件を購入してしまうことを避けるための一助になれば幸いです。

 

事後物件を想定させる何者かにガラスが割られた画像
事故物件の告知義務を知らないと損をする?法的背景をまとめてみた

続きを見る

 

目次に戻る

-くらしの話
-,