台風、地震などの災害に対してマンション管理組合ができる対策は何でしょうか?
すぐに防災マニュアルを作成しようと考える方がいますが、まずは災害の種別とそれぞれの対策ポイントを理解することが重要です。
そのうえで災害に応じたマニュアルを作成し、防災グッズを準備して、毎年のように訓練を実施してマニュアルをリニューアルしていきます。

こんな方におすすめ
- 防災対策に力をいれたいマンション管理組合の関係者
- 想定される災害に対してポイントを押さえておきたい方
1 マンション管理組合で防災対策マニュアルを作成する前に実施すること
まずはマンションを取り巻く災害にはどのようなものがあるか、また、災害で想定される被害を理解することによって、マンション管理組合としてどのような対策が必要となるかがわかります。
実際に起きた被害も参考にしながら、災害の種類を分けポイントを理解していきましょう。
災害種別
- 台風
- ゲリラ豪雨
- 地震
- 火事
- コロナ(感染症)
2 台風 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
2-1 台風ではどのような被害が想定されるのか?
この数年、大阪、千葉、武蔵小杉などの台風被害の報道が繰り返されています。
マンションではどのような台風被害が起こりうるのでしょうか?
台風の想定被害
- 飛来物による破損
- 倒木(植栽がなぎ倒される)
- パーテーションや窓ガラスの破損
- 屋上防水のめくれや自転車置場の屋根が飛ばされる
- 停電(停電に伴い断水やエレベーターの停止)
- 冠水(エントランス・地下駐車場・機械式駐車場・エレベーターピット)
2-2 台風に備えた防災対策
管理組合として住民ができることを広報することが重要です。
例えばバルコニーに飛びやすい物(植木鉢や洗濯物干し竿など)を置いておくと、風で飛ばされ窓ガラスや隣住戸とのパーテーションが割れる場合があります。
実際の台風ではこの被害はとても多いのですが、バルコニー側なので各個人が対策をとることが重要で、窓ガラスやパーテーションは共用部にあたるので、修繕は管理組合が実施することになります。
また、バルコニーの排水溝にゴミが溜まっていると水が溢れ、住戸に浸水することがあります。
これらの注意広報に加え、管理組合と管理会社が協力して次のことを実施します。
なお、これまでマンションにおける台風被害では食料等の備蓄まではあまり想定していない人が多かったです。
しかし、2019年の武蔵小杉でのパークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの被害では電気室が冠水したことにより、何日にもわたり停電したことで災害備蓄の必要性が叫ばれるようになりました。
台風対策のポイント
- 個人宅でできることの呼びかけ
- 排水溝の清掃
- 災害グッズの備蓄
- 土嚢や浸水防止板の準備
- 水害のハザードマップの確認
- 定期点検における排水ポンプの作動確認
- カラーコーンのような飛びそうな物の撤去や固定
- 機械式駐車場のインターロックを外し上げたままにする
- 地下駐車場、機械式駐車場等、低い位置にある車両の移動の呼びかけ
- 台風被害が補償される火災保険に加入しておく
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3 ゲリラ豪雨(大雨) マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
3-1 ゲリラ豪雨ではどのような被害が想定されるのか?
ゲリラ豪雨は気象庁では「局地的大雨」と表現されます。予想が難しく、その名前のとおり急に発生するので困るのがゲリラ豪雨です。
昨今、5月頃から夏にかけて発生することが多く、各地で大きな被害をもたらしています。
ゲリラ豪雨の想定被害
- 冠水(エントランス・地下駐車場・機械式駐車場・エレベーターピット)
- 定期点検における排水ポンプの作動確認
- 土砂崩れ
3-2 ゲリラ豪雨に備えた防災対策
いつ起こるかわからず、短時間のことないので、事前の対策は難しいです。
そうはいっても何もできないかというわけではないので、できることはやっておきましょう。
ゲリラ豪雨対策のポイント
- 排水溝の清掃
- 水害のハザードマップの確認
- 機械式駐車場のインターロックを外し上げたままにする
- 地下駐車場、機械式駐車場等、低い位置にある車両の移動の呼びかけ
- 水災保険に加入しておく
4 地震 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
4-1 地震ではどのような被害が想定されるのか?
この10年を振り返ると東日本大震災、熊本地震、大阪北部地震など、大きな地震が相次いでいます。
地震のときには外力を吸収するために損壊の被害を最小限に抑えるためのエキスパンションという金物があり、これが壊れることはその設置目的を果たしていると判断できます。
しかしながら、「建物が壊れて隙間ができた」、「欠陥マンションだ」といった混乱を招くネット情報が出回ったことがありました。
災害に備えて正しい知識を持ち、正しい情報をシェアしていく重要性を実感した出来事でした。
地震の想定被害
- 受水槽が割れる
- 外壁タイルの落下
- 給排水管の破断
- 扉が開かなくなる
- エレベーターの停止
- 柱や外壁等の破損やひび割れ
- エキスパンションジョイントの破損
4-2 地震に備えた防災対策
地震は以前から管理組合としての対策だけでなく、各個人の対策も大切であることは認識されてきました。
しかし、実際に防災グッズを準備するなど、行動に移している人はそこまで多くありません。
管理組合で備えることと、自分で備えることを理解しておきましょう。
地震対策のポイント
- 倒れやすい物は固定する
- 旧耐震基準のマンションは耐震補強を行う
- 避難経路に物を置かずに経路を確保しておく
- 災害グッズを備蓄しておく(水、食料、ジャッキ、バール、ハンマーなど)
- 受水槽に取水用のバルブを設置しておく
- 地震保険に加入しておく
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5 火災 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
5-1 火災ではどのような被害が想定されるのか?
火災訓練を実施すると、火災警報が聞こえなかったということを聞きます。
これは火災警報が該当フロアと直上階にのみ鳴動する仕様になっているためです。
このように主体的に訓練に参加しないとマンションの構造や設備についてわからないことが多いので、積極的に参加しましょう。
火災の想定被害
- 外壁が焦げる、すすだらけになる
- 消火器を使用することで補充が必要になる
- 火災でガラスが割れる、救出活動でガラスを割る
- コンクリートが劣化する(一定の温度以上になると劣化すると言われている)
5-2 火災に備えた防災対策
いくつもの法律の定めからマンションは火災に強い仕様になっています。
これらの法律に対応しておくことにより自然と火災に強いマンションになります。
また、各種点検を実施後に確認された不具合は、まだ使える、もったいないという考えは捨てて、修繕しておきましょう。
火災対策のポイント
- 避難経路に物を置かない、経路を確保しておく
- 法定の消防設備点検を確実に実施して不具合は修繕しておく
- 法定の連結送水管耐圧試験を確実に実施して不具合は修繕しておく
- 年に1度は消防訓練を実施する、消火器具、避難器具の使い方を把握しておく
6 コロナ(感染症)マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
6-1 コロナ(感染症)ではどのような被害が想定されるのか?
これは多くのマンションで想定外のことでした。
パーティールーム、ゲストルーム、集会室、ドアノブ等、不特定多数の人が触ったり、集まったりする場所で感染が広がる可能性があります。
マンション管理組合が被害を受けるというよりは、各個人に感染が広がってしまうきっかけとなりうるという状況です。
6-2 コロナ(感染症)に備えた防災対策
各管理組合、管理会社が手探りで対策を取っている、取ろうとしているという状況です。
手探りのことが多くこれから様々な対策が取られることになるでしょう。
コロナ(感染症)対策のポイント
- エントランスやエレベーター前にアルコールを置く
- 共用施設(ゲストルーム、パーティールーム等)を使用停止にする
- 共用施設の利用者数を制限する
- アルコール、マスク等を備蓄しておく
- 利用者にマスク着用やアルコール消毒を義務付ける
まとめ マンション防災対策のポイント
本記事のまとめ
- マンション管理組合で防災対策マニュアルを作成する前に実施すること
- 台風 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
- ゲリラ豪雨(大雨) マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
- 地震 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
- 火災 マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
- コロナ(感染症) マンション管理組合がとるべき防災対策のポイント
地震や台風といったこれまでも災害として認知されていたものから、ゲリラ豪雨やコロナ(感染症)といった新たに災害として認知されてきたものもあります。
予測が難しい被害もありますが、いずれも事前の対策は取っておくべきです。
また、立派なマニュアルを作って満足して終わるというようなことにはせず、訓練や定期的な防災グッズの入れ替え、マニュアルの見直しを行い、防災意識を高めることが重要です。
本記事ではマンション管理組合が実施する対策ということを中心していますが、各個人が災害対策を取ることが何より重要です。
人任せではなく、自分の身は自分で守るという強い意識のもと、管理組合運営にも参加される参考となれば幸いです。
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