防災

マンションに防火管理者は必要?業務は?選任しないと罰則がある?

防火管理者が必要かを投げかける画像

 

あなたのマンションの防火管理者は誰か知っていますか?

 

答えることができない人は多いと思います。

 

また、「そもそも防火管理者って何をする人?」という人も多いでしょう。

 

本記事は防火管理者を選任する条件や業務について理解を深めていただくための参考としていただければ幸いです。

 

こんな方におすすめ

  • 防火管理者の業務や役割を知りたい方
  • マンションの理事長や管理組合の関係者

 

 

1 防火管理者を選任する必要があるマンション

マンションには消防法8条の定めによって、居住者が50名以上の場合は防火管理者を選任する必要があります。

 

一般的なファミリーマンションであれば、一世帯に2~3名が住んでいると考えられますので、20世帯ほどになれば防火管理者を選任する必要があると考えるといいでしょう。

 

なお、この防火管理者を選任する義務はマンションの「管理権限者=理事長」にあります。

 

メモ

マンションの代表者は法律によって表現が異なります。区分所有法では「管理者」、消防法では「管理権限者」、さらには法律ではありませんが標準管理規約では「理事長」と表現されています。

 

 

2 防火管理者の資格を取得するためには講習が必要

防火管理者講習を受ける会場

 

防火管理者の資格を得るには、各地域で実施されている講習を受ける必要があり、資格には建物の用途、規模、収容人員などの条件によって選任基準が異なる「甲種」と「乙種」があります。

 

一般的なマンションの場合は「甲種防火管理者講習」を受ける必要があり、箱詰めの講習を丸2日間行うことによって取得することができます。(眠らず真面目に受講すれば全員が取得できます。)

 

なお、講習は各地域で開催されていますが、終了資格は全国共通のため取得した地域は関係ありません。

 

 

3 マンションでの防火管理者の業務

消防計画をPDCAで改善する

 

実際のマンションで防火管理者はどのような業務の実施しなければいけないのでしょうか?

 

細かな規定はさておき、実施する業務としては次の3つを覚えておけばいいでしょう。

 

防火管理者の業務

  • 消防計画の作成と消防署への届出
  • 消防訓練の実施(消火、通報、避難)
  • マンションの適切な維持管理(設備の適切な点検実施や維持管理)

 

また、選任した防火管理者がマンションにとっての初代防火管理者でなければ、消防計画の作成は以前提出したものを参考にすればいいだけです。

 

さらに、消防訓練の流れも過去に実施していれば、それにアレンジを加えれば円滑に実施できます。

 

何より多くのマンションでは管理会社がいますので、過去の資料を見れるように準備をしてもらうことや、サポートを受ければ、これらの業務はそう難しいことではありません。

 

 

4 防火管理者の任期

任期は定められていません。

 

資格が必要(講習に時間がかかる)かつ届出も面倒なため、一度マンションで防火管理者を選任すると何年にもわたって同じ人が務めることも多いです。

 

一方で、防火管理者としての知識を身に付けた人がいることがマンションの財産と考え、毎年交代する管理組合の理事の中から選任するようにしているマンションもあります。

 

ただし、この仕組みでは新たに理事になった人で防火管理者資格を持っていない人が選任されると、理事の交代と防火管理者を交代するタイミングがずれることがよく起こります。

 

防火管理者に選ばれた理事に時間や自覚が無いと、結果として1年間が過ぎてしまい、防火管理者は1年前のままということもあります。

 

 

5 マンション管理組合は防火管理者に報酬を支払う必要はあるか?

多くのマンションでは資格者講習の講習費、交通費は管理組合が負担します。

 

一方で、講習は2日間も時間的な拘束を受けることや責任ある立場ということから、防火管理者に手当を支払っているマンションはありますがごく少数です。

 

もし、防火管理者に手当を付けるべきと言い始めると、7割以上のマンションが毎日のように管理会社とのやりとりをして、書類を確認し、署名・捺印を行っている理事長に報酬を支払っていないこととバランスを取る必要が出てきます。

 

 

 

6 マンションで防火管理者のなり手がいない?解決方法は?

マンション管理組合の理事のなり手がいないように、防火管理者のなり手不足も問題です。

 

現役世代からすれば2日連続で会社を休み、講習を受けてまで防火管理者の資格を取得するということにメリットを感じないでしょう。

 

一方で会社の業務の一環で、防火管理者資格を保有しているという方が少なからずいますので、現役世代からそのような方が現れればラッキーです。

 

では、防火管理者のなり手不足にはどのような解決方法があるのでしょうか?

 

防火管理者のなり手不足を解決

  • シニア世代(現役引退世代)で時間にゆとりがある方を選任する方法
  • 報酬を支払いマンション外部の専門家に委託する方法

 

これらの方法を検討しても防火管理者を選任できない場合は、責任感のある理事長が兼任するか、そのまま選任されずに時が流れてしまいます。

 

そうならないために日頃からコミュニティ形成を意識して、マンション内での適材適所(その道のプロを探しておく)を意識した管理組合運営を行うことが大切です。

 

 

7 防火管理者を選任しない場合の罰則

防火管理者の選任の届出を怠った者への罰則は、罰金30万円以下または拘留です。

 

つまり分譲マンションの場合は、理事長が罰金を払うか拘留されてしまうということです。

 

法律はしっかり守り、コンプライアンスを遵守した管理組合運営を目指しましょう。

 

 

まとめ マンションに防火管理者は必要か?

本記事のまとめ

  • 防火管理者を選任する必要があるマンション
  • 防火管理者の資格を取得するためには講習が必要
  • マンションでの防火管理者の業務
  • 防火管理者の任期
  • マンション管理組合は防火管理者に報酬を払う必要があるか?
  • マンションで防火管理者のなり手がいない?解決方法は?
  • 防火管理者を選任しない場合の罰則

 

防火対策としては、日頃から消防訓練を実施して、いざという時に慌てずに行動できるようにすることが大切です。

 

そして、その消防訓練を実施する中心人物は防火管理者であることはご理解いただけたと思います。

 

本記事がきっかけで、あなたのマンションの防火管理者がマンション全体の防火、防災に繋がる旗振り役となり、意識を高めていくことに繋がれば幸いです。

 

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