こんな悩みを解決したい
- 大雨による水没から車両を守る方法を知りたい
- 大雨で車両が水没した場合どのような対応ができるか知りたい
- マンションの理事長や管理組合の関係者で災害の備えをしたい
ご自身や親類、知人のなかで、「マンション駐車場に停めていた車両が水没した」と聞いたことがありませんか?
近年、短時間でこれまで経験したことが無かった雨量が計測される大雨(ゲリラ豪雨・台風・線状降水帯)による様々な被害が各地で発生しています。
この被害から車両を守るためには、「車両が水没する原因を知ること」、「車両保険に加入しておく」ことが大切です。
本記事では大切な車両を水没から守ることができるように、また、もし水没してしまった場合はどのような対応ができるのかを紹介します。
5分程度で読むことができますので、最後までお読みいただけると幸いです。
1 駐車車両が大雨で水没するマンション駐車場の特徴
近年、ゲリラ豪雨・想定外の大雨・線状降水帯による大雨の被害として、マンションでは駐車車両が水没するケースが増えています。
マンションの駐車場は大きく分けて、「平置きの平面駐車場」と「機械式駐車場」の2種類があり、大雨で水没する駐車場には次の特徴があります。
車両が水没する駐車場の特徴
- 雨が流れ込みやすい構造である
- 機械式駐車場で地下のピット式になっている
- 平置き、機械式の種類は関係なく地盤面より低い位置にある
- ハザードマップで浸水の危険性が高いとされている地域にある
なお、「ハザードマップ ●●」(●●には地域名を入力)と検索すればお住いの地域のハザードマップが確認できますし、行政から各戸に配付されていることが一般的です。
2 マンション駐車場が大雨で水没する原因は?
大手デベロッパーや建設会社が建築したマンションで、なぜ、このような車両が水没する被害が出るのでしょうか?
車両が水没してしまった人やマンション管理組合の関係者では、「大手だから安心・安全に関する対策が取られていると思った。」、「水が流れるルートはしっかり計算されていると思っていた。」との言葉も耳にします。
2-1 想定を上回る大雨
マンションを設計する時に行政との取り決めなどにより、建築コストとのバランスを考えながら一定時間に想定する雨量から排水能力を設定します。
しかし、近年の被害を見てみると、30分や1時間に満たない短い時間に想定を上回る大雨が降ることによって、排水が追い付かず、車両が水没するほどの被害に繋がることがあります。
また、天気予報である程度の雨量がわかる状況であれば、前もって車両を移動しておくことができますが、ゲリラ豪雨ではそのような対応はできません。
2-2 排水ポンプが機能しなかった
マンションには水没を防ぐために、ポンプ室や機械式駐車場のピットなどに、一定の水が貯まったときに敷地外に排水をするための設備として排水ポンプが設置されています。
当然、排水ポンプ機能には限界があり、その排水機能を超える大雨の場合、水を排水しきれず溢れることになります。
なかには排水ポンプが適切に維持管理されていなかったことから、排水ポンプが機能せず水没するようなこともあります。
排水ポンプは定期的に点検を実施して、壊れてから修理する事後保全ではなく、壊れる前に耐用年数や点検結果を確認しながら予防保全の観点を重視して、概ね6~10年程度で交換することをお勧めします。
排水ポンプ交換の時期
予防保全で排水ポンプを交換するのは、梅雨前の4月や5月に実施することをお勧めします。
2-3 マンション敷地外の要因
2019年にニュースになった武蔵小杉の冠水被害では、行政管轄の雨水排水管から逆流したように、マンションの排水機能では解決しきれないようなことが原因となることがあります。
これはマンションでの対策は取りようが無く、行政の対策に期待するしかありません。
3 マンション駐車場の駐車車両が大雨で水没した責任は誰にある?
それでは駐車車両が水没した責任は誰にあるのでしょうか?
地裁ではいくつか判例も出ていて、様々な事情によって判断は変わりますが、一般的な考えで紹介します。
車両水没の責任は誰にある?
- 車両所有者?
- マンション管理組合?管理会社?
- マンションデベロッパー・建設会社?
- 行政?
3-1 車両所有者
瑕疵の有無などにより他者が責任を負うことがありますが、原則として駐車車両が水没した場合、車両所有者の責任となります。
3-2 マンション管理組合・管理会社
管理規約や駐車場契約書に「駐車場での被害は一切責任が無い」と明記していることが一般的です。
そのため、マンション管理組合や管理会社に車両の水没被害の補償を求めても、「前もって危険性や自己責任になることは広報しており、車両所有者の自らの責任と負担で対応すべきことである。」と反論される可能性は高いです。
しかし、次のような観点であれば、マンション管理組合や管理会社の責任とできる可能性はあります。
マンション管理組合や管理会社の責任を問えるケース
- 排水ポンプの不具合がわかっていて放置していた
- 想定される大雨にも何の掲示、広報も実施していなかった
- 緊急避難として機械式駐車場パレットを上げたままする対策が取れたにも関わらず何もしなかった
3-3 マンションデベロッパー・建設会社
構造や設計上の瑕疵(不具合)があれば責任を問うことはできます。
しかし、行政との取り決めや建築基準法などの法律を満たして建設されている場合、デベロッパーや建設会社の責任とすることは難しいでしょう。
なお、車両の水没被害の補償を求めた時には、「行政との取り決めや建築基準法に基づき建設しており責任は果たしているため当社に責任はないと考える」と反論される可能性は高いです。
3-4 行政・自治体
武蔵小杉のような場合、今後どのような補償や責任を認めていくかはわかりません。
しかし、もし被害があったときに、立証することの難しさや行政が責任を認めるということは、かなり高いハードルではないでしょうか?
4 駐車車両を水没から守るための対策
駐車車両の所有者、マンション管理組合、管理会社がそれぞれの立場で車両を水没から守るための対策や解決方法です。
4-1 車両所有者の自己防衛
ゲリラ豪雨の場合はどうにもなりませんが、大雨が予想されるときには面倒と思わずに、一時的に別の駐車場に車両を移動させておきましょう。
そして車両保険に加入しておきましょう。
体験談
以前、高級車の所有者が車両が水没した現場で、レッカーされる車両を見ながら涼しい顔で「保険で対応すればいいや」と言っていたのが、印象に残っています。それほど保険は安心感を与えます。
4-2 マンション管理組合・管理会社ができる対策
マンション管理組合と管理会社は、どちらか一方に対策を押し付けるのではなく、パートナーとして災害に立ち向かう必要があります。
車両の水没対策
- 設備点検を適切に実施して、排水ポンプなどに不具合があればすぐに対応する
- 大雨に備えた行動(前もって車両を移動)や万が一の対策(車両保険に加入)を、防災訓練や広報を通して啓蒙する
- 行政と協力してマンション内で出前講座を開催するなど、地域の水災被害の想定や行政の行動を周知しておく
- 住民同士のネットワークを強化し、声を掛け合えるコミュニティを形成しておく
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まとめ マンション駐車場が水没する?大雨・水害から車両を守る対策
本記事のまとめ
- 駐車車両が大雨で水没するマンション駐車場の特徴
- マンション駐車場が大雨で水没する原因は?
- マンション駐車場の駐車車両が大雨で水没した責任は誰にある?
- 駐車車両を水没から守るための対策
車両は生活必需品として所有している人もいれば、趣味で所有している人もいます。
事前に駐車場の特徴を正しく把握して、自分で取ることができる対策を講じておくことが、車両の水没リスクを軽減し、住みよいマンション生活に繋がります。
本記事が災害に備えた行動、知識を身に付ける一助になれば幸いです。
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