マンション管理組合の役員(理事・監事)就任は義務といっても、ある種仕事に近いものです。
その活動の対価として、役員報酬を受け取ることができる場合がありますが、この報酬は源泉徴収の対象となります。
今回は源泉徴収をしなかった場合の罰則や、源泉徴収は不要と判断する強引な管理組合の考えを紹介します。
こんな方におすすめ
- コンプライアンスを遵守したマンション管理組合運営を行いたい方
- マンションの役員(理事・監事)で役員報酬をもらったorもらう予定の方
1 マンション管理組合の役員(理事・監事)に報酬を支払うことができるか?
標準管理規約には役員は報酬を受け取ることができると定められています。
つまり、管理組合役員がその活動の対価として、報酬を受け取ることを国土交通省は認めているということです。
2 意外?マンション管理組合の役員報酬は源泉徴収の対象
以前、実際にとある税務署に「管理組合の役員報酬は源泉徴収の対象となるのか?」と問い合わせたところ、「対象です。」との回答がありました。
つまりマンション管理組合は、役員報酬から所得税と復興特別所得税を天引き(源泉徴収)して国に納める義務を負っているということです。
管理組合の法人化とは無関係
源泉徴収義務は、マンション管理組合を法人化しているかは関係ありません。
3 マンション管理組合が役員報酬から源泉徴収をしなかった場合の罰則
役員報酬は源泉徴収の対象となりますが、ほとんどのマンション管理組合は源泉徴収を実施しておらず、違反状態にあるといっても過言ではありません。
マンション管理組合(源泉徴収義務者)は確実に徴収するようにしましょう。
源泉徴収義務者が源泉徴収を忘れていた場合に課される二つの罰則
- 不納付加算税
- 延滞税
3-1 不納付加算税
源泉徴収した所得税を納付期限内に支払わなかった場合に課税されます。
罰則としては、納付すべき税金の10%が課税されますが、税務署から指摘される前に、自主的に納付すれば5%に軽減されます。
3-2 延滞税
納付期限までに支払うべき税金を納付していない場合に課税されます。
税金の納付期限の翌日から納税するまでの日数を基に年14.6%で計算されますが、法廷納付期限の翌日から1ケ月以内は年7.3%が適用されます。
4 NG!源泉徴収をしないマンション管理組合の一方的な考え
源泉徴収の対象となるかを意識したこともないという場合はさておき、マンション管理組合が源泉徴収の対象とならないように、知恵(屁理屈)を絞る管理組合があります。
脱税と節税は明確に異なると信念を持っているような関係者がいるとこのような考えになりがちです。
源泉徴収をしないマンション管理組合は次のような主張をします。
これは正式な見解ではなく、あくまでも源泉徴収をしないことを正当化するための、いわば特殊な管理組合の考えであることをお含みください。
役員報酬は源泉徴収の対象外と主張する管理組合の一方的な考え
- 源泉徴収は法人化したマンション管理組合が対象となるが、法人化していない管理組合は人格のない社団等に該当するため不要となる。
- 報酬という名目ではなく、活動費・通信費等として支給するため不要となる。
- 給与所得ではなく、雑所得(普通の給与所得者なら20万円までなら申告不要)に該当するため不要となる。
まとめ マンション管理組合の役員報酬は源泉徴収の対象
本記事のまとめ
- マンション管理組合の役員(理事・監事)に報酬を支払うことができるか?
- 意外?マンション管理組合の役員報酬は源泉徴収の対象
- マンション管理組合が源泉徴収をしなかった場合の罰則
- NG!源泉徴収をしないマンション管理組合の一方的な考え
マンション総合調査の結果では、源泉徴収となる役員報酬の大半は年額数万円程度です。
手続きは面倒かもしれませんが、マンション管理組合の役員報酬に関して税務署から指摘を受けることは嫌でしょう。源泉徴収を行ってコンプライスを遵守したマンション管理組合運営を行いましょう。
なお、これは私見ですが、管理組合の役員報酬に関係する源泉徴収額は国の収入として割合は高くないと思います。
役員報酬は源泉徴収の対象外としていただくことで、管理組合、管理会社等が社会的に増えるマンションストックに対して、資産価値を守り高めていくための活動に専念できるような社会的環境を整えるような法整備を期待します。
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