バルコニーでの喫煙に悩んでいる方で、話し合いで解決できそうにない場合、とても残念なことですが「出るとこ出ましょうか?」という考えになってしまう人がいるのではないでしょうか?
ご近所さんとしてこのような事態は避けてほしいと願いますが、悩んでいる方にとっては生活に直接影響が出ており、一刻も早く解決したいことでしょう。
本記事ではバルコニーでの喫煙に関する判例を紹介します。この判例を参考にせずとも悩みが解決されることを祈ります。
【こんな悩みを解決したい】
- マンションのバルコニーでの喫煙に悩まされている
- マンションのバルコニーでの喫煙問題を解決するための方法や判例を知りたい
1 マンションのバルコニー(ベランダ)での喫煙に関する訴訟事案の概要
2012年には名古屋地方裁判所において、バルコニーでの喫煙に関して、損害賠償命令が出された判例がありますので、この判例の内容を詳しく紹介します。
この判例は、川沿いに立地するマンションにて、70代の女性Aが、直下に住む60代の男性Bに対し、Bのバルコニーでの喫煙が原因で体調不良となり、150万円の損害賠償を求めた事案です。
Aは何度も電話や手紙でバルコニーでの喫煙をやめるようにお願いしたにも関わらず、Bの喫煙が続いたため、訴訟を提起しました。
Bは喫煙しながら景色を眺めるといった私生活の自由や楽しみがあり、さらには管理規約等(使用細則等含む)に「バルコニーでの喫煙を禁止する規定は無い」として反論をしました。
本事案はどのようなことが争点になったのか確認しましょう。
2 マンションのバルコニー(ベランダ)での喫煙に関する判例の要点
2012年には名古屋地方裁判所において損害賠償命令が出された判例の要点は次のとおりです。
2012年に出た名古屋地方裁判所の判例の要点
- 管理規約等に禁煙の規定が無いのであれば、バルコニーでの喫煙は可能。
- 自己の所有物である専有部分内であるからといって、いかなる行為も許されるものではなく、他者に著しい不利益を及ぼす場合には、制限が加えられることはやむを得ず、他の居住者に与える不利益の限度によっては行動を制限すべき場合はあり得る。
- 身体的な被害は認定されなかったが、改善が見られなかったことによる精神的損害として損害賠償が認定された。
- 損賠賠償額は150万円の求めに対して5万円であった。その背景としては、管理組合が掲示等でバルコニーでの喫煙に関して注意喚起を実施して以降の2011年5月から同年9月までの4ヶ月を不法行為期間として認定したこと。居住者は他の居住者によるバルコニーでの喫煙に関し、専有部分への煙の流入を含め、ある程度の受忍義務があること。といったことが挙げられた。
- 受忍限度を超えていると判断されたのは、喫煙者に改善を求めても真摯な対応がなく、無視されたことによる。
- Aの体調不良とBの喫煙の因果関係は否定。
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まとめ マンションのバルコニーでの喫煙で悩んでいる方へ
本記事のまとめ
- マンションのバルコニーでの喫煙に関する訴訟事案の概要
- マンションバルコニーでの喫煙に関する判例の要点
この数年で建設されたマンションではほとんどの場合、バルコニーでの喫煙は禁止されています。
注意しなければならないことは、この判例は管理組合の対応を求めたものではなく、あくまでも居住者間のトラブルが原因であり、当事者同士での争いでした。
近年、バルコニーでの喫煙は、騒音や管理費等の滞納等と並び、マンションでの多いトラブルの一つです。
掲示板や各戸配付の広報文で喫煙への配慮を呼びかけるのも一つの方法ですが、このご時世、早めに管理規約等でバルコニーでの喫煙を禁止することがトラブルを未然に防止する方法ではないでしょうか。
この記事が少しでも喫煙で悩んでいる方の役に立ち、一人でも多くの方が住みやすいマンションとなっていくことの一助となれば幸いです。
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