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管理費滞納者の氏名をマンションで公表することはできるか?

管理費滞納者の氏名を隠していることをイメージさせる書面の写真

 

【解決したい悩み】

  • 管理組合は管理費滞納者の氏名をマンションで公表していいか。
  • 管理組合にとって氏名を公表することは滞納対策になるか。

 

マンション管理組合の理事長や役員をしていて管理費の滞納対策に悩んでいませんか。

 

滞納に関して「真面目に管理費を支払っている人に示しがつかない」、「滞納者を懲らしめるべき」、といった理由から「滞納者の氏名を公表したい」という相談をいただきます。

 

気持ちはわからなくはないのですが、制裁的な目的は取るべきではありません。

 

滞納者の氏名を公表することは、名誉棄損やプライバシーの侵害として、管理組合が訴えられる可能性があるため、「氏名は公表すべきでない」が結論です。

 

本記事では管理費滞納に関して、氏名を公表することのメリット、デメリットを紹介します。

 

本記事はゆっくりでも5分程度で読むことができますので、最後までお読みいただけると幸いです。

 

 

1 管理組合がマンションで管理費滞納を公表する方法

まず管理費滞納者の氏名を公表したい理由を改めて冷静になって考えてみてください。

 

氏名を公表することで滞納が解消されると思っていませんか。

 

結論としては、滞納者の氏名を公表したからといって滞納が解消されるわけではありません。

 

ただ、次の理由から氏名を公表するという強い意志がある管理組合が存在するのは事実です。

 

滞納者の氏名を公表する理由

  • 滞納者への制裁を目的としているわけではない。
  • 大切なことのため、管理費滞納に関し、理事会での検討状況を区分所有者に周知したい。
  • 理事会が何もしなければ管理費を真面目に支払っている他の区分所有者に示しがつかない。

 

なお、滞納者の氏名を公表するには次のような方法があります。

 

滞納者の氏名を公表する手段

  • 総会議案書 → 配付
  • 総会議事録 → 配付・掲示
  • 理事会議事録 → 配付・掲示
  • 掲示:掲示文 → 配付・掲示
  • 広報文(滞納に特化した個別広報文、組合ニュースのような広報文) → 配付・掲示

 

このなかで総会議案書はあくまでも区分所有者に配付するものですので掲示ということはあまり考えられませんが、その他の資料の場合、掲示することによってマンションの来訪者にも見えてしまいます。

 

特にオートロックが無いような古いマンションの場合、掲示は誰でも見える位置に滞納者の情報が公表されることになりますので、実行するとなると特に注意が必要です。

 

 

2 管理費滞納者の氏名をマンションで公表するメリット

管理費滞納者の氏名公表にストップをかける様子

 

次のようなことを目的に公表しようと考える人がいますが、このような理由であればやめておくべきです。

 

滞納者の氏名の公表目的

「滞納者を懲らしめる」

「真面目に管理費を支払っている人へのけじめ」

 

管理組合として達成したい目的は滞納管理費が支払われることです。

 

もし氏名の公表を考えているのであれば提案したい方法があります。

 

実際には氏名の公表はしないものの、公表するようなことを示唆した督促文書を滞納者に送付することです。

 

実例を紹介します。

 

車持ちで普通に生活していながら、理事会からの面談依頼や支払計画書の提出要望を無視する滞納者がいました。

 

理事会の督促方法

理事会は少額訴訟の提起は理事会決議でできる管理規約になっていましたが、あえて、総会議案書の形で部屋番号と氏名を記載した書面を整え、「滞納が解消されない場合、添付書面で臨時総会を開催する」と滞納者に通知しました。

 

効果は抜群で翌月から着実に一定額が支払われるようになりました。

 

この対応のポイントとしては、理事会は氏名を公表するつもりはありませんでした。

 

もしこの方法で滞納が解消する見込みがなければ、少額訴訟に踏み切れば良いと考え、あくまでも滞納解消のステップの一つとして、このような対応を行いました。

 

なお、管理規約に「●ヶ月以上の管理費の滞納者には氏名の公表ができる。」と規定することは、滞納の抑制効果を期待できるので、滞納対策の一つとして有効だと考えます。

 

しかし、本当に氏名の公表を実行するかは慎重な検討が必要です。

 

総会議案書の記載

強制執行や競売といった法的措置を講じるときには総会議案書に一定の事項を記載する必要がありますが、この時でも「●号室:区分所有者」といった表現に留めることをお勧めします。

 

 

 

3 管理費滞納者の氏名をマンションで公表するデメリット

氏名を公表するにあたり、検討いただきたいことは、滞納者の家族への影響と管理組合理事会の費用対効果です。

 

滞納者の氏名公表にあたり忘れてはいけない観点

  • 管理費滞納者の家族への影響
  • 管理費滞納者の氏名を公表することの管理組合の費用対効果

 

3-1 管理費滞納者の家族への影響

法的観点では滞納しているのはあくまでも所有者で、例え配偶者であっても滞納した管理費を支払う義務は法的にはありません。

 

マンション内で氏名を公表したときの一番の影響として、管理費の支払い義務を負っていない滞納者の家族を追い詰めることが挙げられます。

 

例えば配偶者であれば、職場に行き辛くなることや自治会といったコミュニティ活動に参加しにくくなります。

 

もっと辛いのは子供がいる場合で、ひどいときには小学校でのいじめに繋がる可能性があることを認識してください。

 

 

3-2 管理費滞納者の氏名を公表することの管理組合の費用対効果

3ヶ月程度の滞納で、氏名の公表に関して理事会の時間を使わないことが管理組合として大切です。

 

一つの目安として滞納期間が半年以上となり、法的措置の検討をするタイミングでメリットに記載したような効果を目的に公表するかを検討するようにしてください。

 

管理組合として避けたいのは、氏名を公表することによって、滞納者から名誉棄損、プライバシーの侵害だと訴えられることです。

 

もし、氏名を公表したことにより、滞納者がこの観点から訴えてくると、滞納対策とは別に理事会として手間と費用がかかります。

 

悪いのはどう考えても滞納者なのですが、「滞納者が管理費を滞納すること」と「管理組合が滞納者の氏名を公表すること」は分けて考えてください。

 

なお、名誉棄損に関しては、次の条件を満たす場合には不法行為にならないとされています。

 

名誉棄損に該当しない条件

  • 公共の利害に関する事実に係ること
  • 目的が専ら公益を図ること
  • 真実であることの証明があること

 

+ ⇒⇒⇒ 刑法第230条 名誉棄損の条文を確認

刑法第230条 (名誉毀損)

1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

2.死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

                                

刑法第230条の2 (公共の利害に関する場合の特例)

1.前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2.前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3.前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

 

 

まとめ 管理費滞納者の氏名をマンションで公表することはできるか?

本記事のまとめ

  • 管理組合がマンションで管理費滞納を公表する方法
  • 管理費滞納者の氏名をマンションで公表するメリット
  • 管理費滞納者の氏名をマンションで公表するデメリット

 

国土交通省のマンション総合調査(平成30年度:2018年)では、管理費の滞納は4つマンションがあれば1つのマンションには三か月以上の滞納者がいるという割合です。

 

管理費の支払い能力は個人によるところが大きく、管理組合として対策は限られています。

 

しかし、滞納が発生する前、発生したときに的確な対応していくことで長期滞納はある程度防ぐことができます。

 

本記事が管理費滞納の対策の一助になれば幸いです。

 

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