【解決したい悩み】
- 理事長になりたいが自分からは言いにくい
- 理事長になりたくないので誰かに理事長になってほしい
- 理事長を決めるのに時間をかけたくない
- もめずに理事長を決めたい
マンション管理組合の役員の順番がくると「理事長になりたくない。早く理事長が決まればいいのに」と思う方が多いのではないでしょうか。
また、「理事長を決めるのに時間がかかった」、「押し付け合いのようになり気まずい思いをした」といったこともよく聞く話です。
本記事では、理事長をやってみたい方にも、誰かに理事長になってもらいたい方にも役立つ、円滑でもめない理事長の決め方を紹介します。
1 マンション管理組合の理事長が決まらない
役職決定の場では、理事長に就任できない理由を述べて理事長になることを回避しようとする人や、もっともらしい理由をつけて理事長にならずに済むように、その他役職に就任しようとする人がいます。
もっともらしい理由としては、銀行に勤めているので会計関連にはある程度知識があるため、会計理事を務めたいといったことです。
確かに理事長はただでさえ捺印等の手続きが多くて大変そうとのイメージがある中、理事会、総会を仕切らないといけない、トラブルを仲介しなければならないなど、「やりたくない」と思われる役職です。
そのため、率先して「やります」という人はむしろ何か裏(大規模修繕の工事業者を紹介したい等)があるのでは?と勘繰る人もいるぐらいです。
しかし、理事長が決まらないと役職決定は終わりませんし、新しい期の管理組合運営は始まりません。
そのような理事長の決め方を確認していきましょう。
2 マンションの理事長(役職)はどのように決めるべきか?
理事の役職を決めることに関して、標準管理規約には、次のような記載があります。
「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。」………つまり、「理事同士の話し合いで決めてください」という意味ですが、具体的な決め方までは記載されていません。
標準管理規約のコメントにも決め方についてはこれ以上の記載はありません。
標準管理規約第35条(役員)
理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
※多くのマンションでは以前の標準管理規約にあわせて、「理事会で選任する。」ではなく、「互選により選任する。」となっています。
3 マンションの理事長(役職)の決め方は3つ
理事会で理事長(その他役職含む)を選任するときの決定方法は3つあります。
理事長の決め方
- 立候補
- 推薦
- くじ引き
3-1 立候補
就きたい役職に各自が立候補します。
ただし、理事長への立候補は期待できません。
3-2 推薦
総会等での発言や普段の付き合いがある場合の人間関係、役職決定の話し合いの場での立ち振る舞い等から、「この人をこの役職に推薦したい」と思わせる人がいる場合があります。
この場合に「●さんは●の役職が良いと思います。」と推薦する人が現れます。
純粋に推薦する人は良いのですが、押し付けるために推薦する人を見ると残念ですよね。
3-3 くじ引き
話し合いで決定できない場合に用いられる方法です。
前向きな管理組合運営を行うにはできれば避けたい方法です。
4 もめないためのマンションの理事長(役職)の決め方と手順
役職決定がスムーズに進むかどうかは、理事長を決定するタイミングと、そのためのプロセスが適切かということにつきます。
例えば、2年半数改選の管理組合は、前年度の1年目で副理事長を務めた方が2年目には理事長に就任するというような、ある意味、理想的な流れを作っている場合であれば、スムーズに進むでしょう。
しかし、多くの場合、理事長はなかなか決まりません。
では、決まらない場合、どのように役職を決めるのが良いか、お勧め方法を紹介します。
この方法はあくまでもスムーズに決まらない場合の方法であり、話し合いでぜひこの人に任せたいという状況で理事長が決まるのであればそれがベストです。
もめない理事長の決め方の手順
- 理事長を決めることを合意する
- 出席している人から理事長を選ぶことを合意する
- 希望する役職を確認する
- 無理がありそうな方は理事長候補から外す
- くじ引き等で理事長を決める
4-1 他の役職はさておき、まずは理事長を決めることを合意する
理事長以外の役職を早い者勝ちのような形で決める人が現れないようにします。
もし現れても、希望だけを聞いておく形にし、あくまでも決定ではなく、理事長から決定することも全員で合意します。
4-2 出席している人から理事長を選ぶことを合意する
ここで必ずと言っていいほど、「出席しなかった人が得をして、出席した人が損をするので、欠席者を理事長にすべき、もしくは欠席者も理事長に選ばれる可能性を残すべき」という意見を出す方が現れます。
しかし、本質を考えてください。
理事長はこれから一年間、皆様の大切な資産であるマンションの価値向上、価値を守るために重要な役割を担います。
そのような「重要な役割に、人柄を知らない人を選びますか?」と問いかけたいです。
知っている人がいない場合でも、その場での発言や立ち振る舞いを見て、判断することが適切な管理組合運営に繋がります。
なお、以前に理事長をされたことがある人等、ある程度、人柄を知っており、たまたま役職決定の場にいないような人はこの限りではありません。
4-3 希望する役職を確認する
副理事長や会計理事等の役職を決める必要はありますので、人柄や考え方を知るために、各自、どの役職に就きたいかを確認します。
ここで注意いただきたいこととして、先に希望を言った人から、その役職に決めるということはしないことです。
4-4 無理がありそうな方は理事長候補から外す
明らかに就任が難しそうな方は候補から外すべきです。
例えば、出張ばかりのサラリーマンで月の半分以上はマンションにいないという方です。
こういった方はマンションがどのような状況かを把握することは難しいでしょうし、捺印が必要な書類等を管理会社に円滑に渡すことができないといったことが考えられますので、できれば避けるべきです。
4-5 くじ引き等で理事長を決める
ある程度、理事長候補を絞ることができましたら、その他役職の決定は、理事長を決めてからということにして、理事長を選ぶためだけのくじ引きを行います。
ここまで紹介しましたように、順序立てて理事長を決めることによって、管理組合にとってマイナスな人選がなされないようにすべきです。
なお、一つの参考例ですが、現役を引退された方で、比較的時間に余裕のある方をサポート役のような役職(副理事長)に選出します。(理事長を立てることができる方が望ましい。)
そして、理事長は現役世代から選ぶことで、理事長が新しい管理組合の取り組みや判断の柔軟性を取り入れながら、副理事長がサポートするいった協力体制を構築することができます。
まとめ マンション管理組合の理事長・役職の決め方と手順
本記事のまとめ
- マンション管理組合の理事長が決まらない
- マンションの理事長(役職)はどのように決めるべきか?
- マンションの理事長(役職)の決め方は3つ
- もめないためのマンションの理事長(役職)の決め方と手順
理事長の人柄、やる気でその期の理事会の動きが決まるといっても過言ではありません。
国民性から控えめな方が多く、理事長を務めたくないという方が多いことはわかります。
しかし、管理組合活動は自分の資産をどのように守っていくか、どうすれば価値を上げることができるのかという原点に戻ると、理事長を押し付けあうことは残念なことです。
この人に理事長になってほしいという方が選任されるように、前向きな話し合いのもと役職の互選を行うことをお勧めします。
なお、このような方法を取らずともスムーズに理事長が決定していく流れを創り上げることが、自然とマンションの資産価値向上に繋がります。
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