長期修繕計画

マンションの長期修繕計画を作成するときに認識すべき5つのポイント

長期修繕計画で使用するグラフ等のイメージ
ご自身のマンションの長期修繕計画書を見たことがありますか。
そして、それはいつ作成されたものかご存知でしょうか。
 
長期修繕計画書は修繕積立金の算出根拠としても使用されており、マンション管理組合にとって重要な資料です。
本記事では作成方法や必要性を長期修繕計画作成ガイドラインを参考に紹介します。
 

こんな方におすすめ

  • マンション管理組合で長期修繕計画の理解を深めたい方
  • マンション管理組合で修繕積立金の値上げを検討している方
 

 

 

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1.マンション管理組合における長期修繕計画とは?

長期修繕計画とは、安心・安全・快適な居住環境の確保と資産価値の維持向上のために必要な工事資金を、計画的に積み立てるために作成、利用する資料です。

 

この長期修繕計画で見込む工事には、鉄部塗装工事(6年周期)・屋上防水・外壁補修等をまとめて実施する大規模修繕工事( (10~15年周期)・給水管補修工事(16~25年周期)等があり、それぞれの工事を実施するには多額の費用が必要となります。

 

また、長期修繕計画の作成は、標準管理規約第32条に管理組合の業務として定められており、同第48条では総会での議決事項として定められている重要な事項です。

 

標準管理規約

第48条 議決事項

次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。

長期修繕計画の作成又は変更

 

 

2.マンション管理組合が長期修繕計画を作成する目的

マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適切な時期に適切な範囲の修繕工事を行うことが必要です。

また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改修工事を行うことも望まれます。

 

そのためには、次に掲げる事項を目的とした長期修繕計画を作成し、この計画に基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。

 

長期修繕計画の作成の目的

①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。

②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。

③修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。

※【出典】国土交通省発行 長期修繕計画作成ガイドライン

長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等

 

 

3.長期修繕計画を作成するときに忘れてはいけない5つのポイント

一般的に長期修繕計画は国土交通省が2008年(平成20年)に発表した長期修繕計画作成ガイドラインに基づき作成します。

そして、管理組合が依頼した作成者(管理会社や設計会社等)のノウハウを盛り込むことでより充実した計画となります。

作成するときに忘れてはいけない重要な5つのポイントは次のとおりです。

 

3-① 長期修繕計画の計画期間は概ね30年程度とする

長期修繕計画作成のガイドラインでは概ね30年程度の期間において計画を作成します。

一方で30年を超え50年といったより長期に渡る計画を作成しているマンションもあります。

どこまで先を見通すかは管理組合の考えに基づき設定します。

 

 

3-② 工事項目、周期、工事費を算出し、資金計画を明確にする

ココがポイント

大規模修繕工事の周期を12年で見込むか15年で見込むかは、60年のスパンで考えると実施回数が5回と4回となり、資金計画に大きな影響を与えます。

 

また、工事費の算出は、工事対象の箇所数や面積だけでなく、これまでマンションで実施した工事実績を参考にし、さらにはメーカー、長期修繕計画書の作成者等の考えを参考に算出します。

工事実績を参考にするということは、年数が経ち修繕履歴が多くなればなるほど、よりそのマンションにあった長期修繕計画となっていきます。

 

長期修繕計画での修繕は、マンションが物理的に劣化していくという観点から、本来の機能水準まで戻すことが前提となりますが、社会的劣化にも対応していく必要があります。

例えばインターホン設備では、古いマンションでは、自動ドアでもなく、管理事務所との火災警報等にも連動しないため、共用部分の工事を目的とした長期修繕計画からは除外されます。

 

しかし、この20年ほどで建てられたマンションは自動ドアや管理事務所との火災警報等と連動しており共用部分扱いとなります。

 

ココに注意

マンションによって長期修繕計画に見込む工事が異なりますので、どのような工事を見込むかによって必要となる工事費に影響を与えます。

 

3-③ 修繕周期が計画期間を超える場合は、その工事項目を明記する

例えば新築から30年の長期修繕計画書を作成する場合、建具等の玄関扉や窓サッシの交換は30年以降に設定する場合が多いのですが、その費用は大変嵩みます。

そして、一定のタイミングで長期修繕計画を更新すると、急に建具等の項目が出てくることにより、それまで工事費用を賄える計画であったものが、一転、資金不足となる資金計画になる場合もあります。

そのためには、将来、必要となる工事項目(費用)を明示しておくことは重要なことです。

 

3-④ 5年程度ごとに長期修繕計画の見直しを行う

長期修繕計画は次のような不確定な要素があるため、5年程度ごとに見直しが必要です。あわせて修繕積立金の見直しも行います。

 

長期修繕計画を見直すときの観点

  • 建物・設備の劣化の状況
  • 社会環境、生活様式の変化
  • 新たな材料、工法の技術進歩
  • 修繕積立金の運用益、物価、消費税等の変動

 

3-⑤ 修繕積立金は均等積立方式を採用する

資金計画は計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式(均等積立方式)が望ましいです。

背景としては、多くの事業主が分譲時に定めている段階改定方式では後年の負担がかなり大きくなりますので、均等積立方式を採用すべきです。

 

 

ココに注意

一度、均等積立方式を採用して修繕積立金を値上げしたからといって安心はできません。

 

長期修繕計画を見直すことにより必要額が変更となることにより、修繕積立金を見直す必要が出てくる場合があります。

なお、ガイドラインでは分譲事業主や長期修繕計画の作成を依頼された専門家は購入予定者や管理組合に、これらの積立方法を十分に説明する必要あると言及しています。

 

ただし、マンションを購入するときは、新生活にばかり目を向け、この長期修繕計画の説明を正確に正しく理解している購入者は少ないのが現状です。

そのため、管理組合が修繕積立金を値上げしようとする場合に、「値上げの予定は聞いていない。」といって反対する方が一定数います。

 

 

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4.長期修繕計画の精度

長期修繕計画は、作成時点における内容、時期、費用等に関して作成されます。

新築マンションでは工事請負契約書による内訳書や数量計算書、また、既存マンションでは保管されている設計図書やこれまでの工事実績、さらには劣化状況等の調査・診断結果が参考となります。

 

ココがポイント

長期修繕計画は次に掲げる事項を考慮し、「工事内容、時期、費用等を確定するものではなく、一定期間毎に見直し」をすることを前提としています。

 

長期修繕計画の前提

  • 修繕工事の内容は現状仕様にあわせて一般的な仕様により設定されるが、工事実施の際には技術開発や社会情勢の変化により内容が変更される場合がある。
  • 時期(周期)は目安であり、立地条件(海が近いと鉄部は錆びやすい等)によって異なる。
  • 資金計画には、修繕積立金の運用利率、物価及び消費税率の変動など不確定要素がある。

 

 

まとめ 長期修繕計画を作成するときに正確に認識すべき5つのポイント

ガイドラインを参考にすると、長期修繕計画の必要性、作成方法の概略等は、理解しやすいですのですが、長期修繕計画は管理組合の意向により大きく異なる要素があります。

マンションに専門知識を有する人がいらっしゃり、その方が作成に関わることは良いことなのです。

 

しかし、新築工事の経験しかない方や一級建築士という肩書だけを見て、この分野に詳しいだろうということで、長期修繕計画の作成に意見を求めた結果、的外れな計画になっている事例をたくさん見てきました。

 

ココがポイント

協力を依頼する人は、分譲マンションの修繕工事に携わった経験があるのか?

ガイドラインの内容を理解したうえで話しができるのか?

 

長期修繕計画は皆様の大切な資産を維持管理していく重要な計画となりますし、マンションを購入されるうえでも理解しておくべきことのため、この記事が作成の参考になれば幸いです。

 

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