修繕積立金

マンションの修繕積立金は値上げが必要~国土交通省のガイドラインが最低水準~

グラフを使って修繕積立金の値上げを理事長に説明するフロント

 

マンションの修繕積立金が不足すると聞いて、自分のマンションどうなんだろうと悩んでいませんか?

 

正直、ほとんどのマンションで修繕積立金は不足します。

 

なぜなら、分譲時の修繕積立金の設定は、事業主(デベロッパー)の販売戦略と業界の悪しき慣習によって、必要以上に低い水準で設定されているからです。

 

この記事では修繕積立金がどれくらいの水準で設定されるべきなのか、また、平均や相場を知る上で参考になる国土交通省のガイドラインの存在を紹介します。

 

2分程度で読むことができ、修繕積立金への理解が深まりますので、最後まで読んでいただけると幸いです。

 

こんな方におすすめ

  • マンションの修繕積立金が適切か知りたい方
  • マンションの修繕積立金の増額を考えている方
  • 管理会社から修繕積立金の値上げ提案を受けた方

 

 

1 マンションの修繕積立金は㎡(へいべい)単価で考える

あなたのマンションの修繕積立金の㎡単価はいくらですか?

 

このように聞かれて、「何のことかわからない」、「言葉は知っているけど、単価がわからない」という人は多いのではないでしょうか。

 

㎡単価とは、マンションの管理費や修繕積立金は広さに応じて決まりますので、例えば100㎡のマンションに住んでいて㎡単価が100円というのであれば、月々に支払う修繕積立金は10,000円(100㎡×100円)ということです。

 

 

2 マンションの修繕積立金は事業主により意図的に低く設定

マンションの修繕積立金を意図的に低く抑える事業主のイメージ

 

多くのマンションでは分譲時の修繕積立金は100円前後で設定されています。

 

これは売主(事業主・デベロッパーとも言います)が販売をしやすいように意図的に低く設定しているためです。

 

背景としては月々に支払う修繕積立金が高い場合、マンションの購入希望者からするとローンを組むことに不安を覚えることから、月々のローン+管理費+修繕積立金のランニングコストを低く見せて、購入しやすいという印象を与えるためです。

 

 

3 現実的で無いマンションの修繕積立金の段階増額方式

しかし、修繕積立金が低く設定されているのは分譲時だけのことです。

 

多くのマンションでは長期修繕計画が設定されており、その計画に基づいて段階的に修繕積立金を値上げをしていくことで、将来の修繕費用を賄う計画としています。

 

しかもこの値上げは一時金(10年に一度50万円を一括して各住戸から徴収)の徴収や段階値上げということを前提にしており、段階値上げにおいては5年毎に30%や50%を値上げしていくという計画です。

 

仮に30%の段階値上げでは、当初10,000円で設定していた積立金は築15年を迎えるころには2.2倍の22,000円、築30年迎えるころには約5倍の50,000円近くにもなります。

 

修繕積立金が必要になったときに臨時で集めることを想定していたは、いざとなったときに支払わない人(正確には支払うことができない人)が続出し未収のリスクを抱えますので、合意形成が非常に難しいです。

 

6年目~11年目~16年目~21年目~26年目~31年目~
13,000円16,900円21,970円28,561円37,129円48,268円

 

マンションの修繕積立金を段階的に増額したときに推移グラフ

 

 

4 修繕積立金の平均値・相場は国土交通省のガイドラインは参考にする

平成23年(2011年)に国土交通省が発表したマンションの積立金積立金に関するガイドラインでは、規模にもよりますが㎡単価として、178円~218円が竣工から30年で均等積立方式(途中で金額を変更せずに1年目も30年目も同じ金額を積み立てる方式)で積み立てる場合の平均値・相場として示されています。

 

これは皆様がお住いのマンションと比べてどうでしょうか?多くの方がこの数値以下だと思います。

 

また、この数値はあくまでも分譲時から30年目までの平均値としているだけで、築30年以降に実施が必要となる電気系統の幹線の交換や建具・サッシの交換等の大型の工事が含まれていない期間に必要となる金額です。

 

これらの計画を加え、さらには分譲時から金額が低く抑えられた影響を考慮すると、すでに一定の築年数が経過しているマンションは、より一層高い修繕積立金を徴収しなければ成り立たないという状況は容易に想像がつきます。

 

 

5 マンションの修繕積立金の㎡単価は200円以上に値上げすべき

私は修繕積立金が不足するというわかりきった問題を先延ばしにするのではなく、どのようなマンションでもすぐに㎡単価を200円以上の水準に増額しておくべきと考えます。

 

ぜひ、今すぐご自身が支払っている修繕積立金を確認し、理事会にて値上げが検討されるように提案をしてください。

 

なお、修繕積立金の値上げは管理組合の総会を経て決定されるものであり、その合意形成には理事会役員に大きな負担がかかることが一般的です。

 

実際に修繕積立金を改定する場合の総会議案の作成や中古市場で低い修繕積立金がどのような見られ方をするのかを記事にしておりますので、本記事とあわせてお読みください。

 

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