タワーマンションは1棟建設されるだけでその地域に大きな影響を及ぼします。
神戸市はタワーマンションのあり方について、課題を洗い出し、独自の規制をかけていく動きを進めています。
本記事ではタワーマンションの状況と課題について、神戸市の取り組みを紹介します
1 神戸市のタワーマンションの分譲状況
全国的に駅近、豪華というようなブランドイメージの良いタワーマンションは、建設されることによりその地域の人口増に大きな影響を与えています。
なかでも神奈川県川崎市の武蔵小杉はわかりやすい例です。
近年、川崎市は神戸市の人口を抜いており、これは武蔵小杉に林立するタワーマンションが大きく影響したことは明らかです。
神戸市においてもタワーマンション人気は同様で、デベロッパーの事業意欲も高く、市内全域の3分の1にあたるタワーマンションが存在し、2005年以降だけでも18棟(約4,500戸)が分譲されました。
2 神戸市のタワーマンションの規制
神戸市としては維持管理だけでなく災害対応の難しさや商業的な活性化を考慮し、三宮を中心に一定エリアでタワーマンションの建設を規制する方針を固めています。
市の人口が川崎市に抜かれたとはいえ、川崎市の人口増の背景となったタワーマンション人気に単純に追従する考えは無いようです。
むしろ規制をし、新たな制度を導入することにより、街づくりや維持管理に行政が関わる方向性を示しています。
3 タワーマンションのあり方に関する研究会
神戸市は2018年に有識者によるタワーマンションのあり方に関する研究会を立ち上げました。
この研究会は、管理組合が行政の求める情報を届け出る制度と、維持管理が良好なマンションを「優良マンション」として認定する制度を合わせた「神戸版タワーマンションマネジメント制度」を立案し、現在、制度設計を目指して活動しています。
そして、その中での課題は、次の項目が具体的に掲げられています。
タワーマンションの課題
- マンションの持続可能性の確保
- マンション内の「良好なコミュニティ形成」
- まちづくりとの調和
3-1 マンションの持続可能性の確保
修繕積立金不足・将来の保有コスト負担・災害対応
3-2 マンション内の良好なコミュニティ形成
区分所有者の属性の多様化による合意形成の困難・周辺コミュニティとの関係性の希薄化・高層階住民の外出行動の減少
3-3 まちづくりとの調和
都心部への人口集中(全体とのバランス)・インフラの不足(小中学校の過密化)
まとめ 神戸市のタワーマンション規制
神戸市の方策は、武蔵小杉を中心にタワーマンションが増えることにより、すでに問題化していることを参考に対応しようとしていることはわかります。
ただ、これら問題は各行政の課題というより、国が管理組合という組織に対してどのように関わっていくかを、区分所有法やマンションの管理の適正化の推進に関する法律等において、明確に定めることで、行政が動きやすい状況を作ることも可能だと思います。
特に修繕積立金の課題は、㎡単価を200円以上に義務付けるといったことをしてしまえば良いと思います。
また、消費税増税で管理組合会計の収支が厳しくなることはわかります。
そのため、標準管理規約では管理費や修繕積立金は、消費税と連動すると記載しておくことも、増税の都度、管理組合が収支状況に関して無駄な議論の時間を費やすことなく、その他重要な課題に注力できることに繋がるのではないかと私は考えます。
課題を先送りにしても何の解決にもなりませんので、一刻も早く、国としてマンションの高齢化(建物・住民とも)問題に取り組まなくてはならないと考えます。
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