新築マンションの購入にあたり、どのように値引きをすればいいか考えていませんか?
マンションはとても高いので、もし1%でも値引きできれば何十万円という減額が実現できます。
本記事では数分で理解できるように、値引きの交渉術を紹介します。
こんな悩みを解決したい
- 新築マンションの購入にあたって少しでも費用を抑えたい
- 不動産の購入は事業主(売主)が有利だと思っている
1 新築マンションの市況
㈱不動産経済研究所が発表した2019年度(201904~202003)の首都圏マンション市場動向では初月契約率は0.7ポイントダウンの61.3%、戸当たり単価は8年連続の上昇となり6,055万円(前年5,927万円)という結果でした。
6,055万円という価格は平均年収の10倍以上で、以前は年収の5倍が目安と言われていた状況から考えると高過ぎる状況です。
首都圏でマンションを購入しようと思うと、資産家、医者、弁護士、パワーカップルといった限られた方にしか購入できない価格帯になっています。
それでも売れているのですからすごいものです。
2 新築マンションをあえて値引きする背景
まず知っておくべきはことは、事業主があえて新築マンションを値引きする背景です。
当然ながら人気マンションを販売当初から値引くことは考えられませんよね?
事業主が販売したいと考えていた期間を過ぎても売れていない新築マンションは価格交渉がしやすいです。
理由としては事業主が販売を続けるため必要となる次の経費がかかるので、それらを考慮すれば、値引きしてでも売ってしまいたいとの考えに至ります。
- 販売スタッフの人件費、広告費等の負担
- 引き渡し後であれば売れ残っている部屋の管理費、修繕積立金、確保している駐車場使用料等の負担(売れ残っている=所有者は事業主の状態)
なお、資金力のある住友不動産は、ブランド価値の維持や、同じような部屋を何百万円違いで購入した入居者間で発生するトラブル等を想定して、完成後も値引きをしないことで有名です。
実際にマンションの購入者・購入予定者が作るコミュニティサイト上で、値引き前と値引き後に購入した人たちの間で、バッシングの応酬があったマンションがありますが、その後の管理組合運営に大きな影響を与えますので、値下げをしないということは、ある意味では購入者目線ということとも考えられます。
3 新築マンションの値引き交渉術~タイミングと方法~
値引き交渉はタイミングと方法が重要です。
また、値引きの方法として、「1%、3%といった%で行われる場合」と、「100万円、200万円と金額で行われる場合」がありますが、予算内に当てはまるのか、満足できる範囲であるかということが重要となります。
なお、値引きが難しい場合でも、オプションサービスの追加という方法で実質値引きが可能となることがあります。
私の実体験としましては、どうしても値引きが難しいということで食洗器を追加で設置いただけたことがありました。
3-1 新築マンションの値引き交渉のタイミング
- 事業主の決算期(2月末~3月初旬)のタイミング
- 販売住戸数(在庫数)が少なくなったタイミング
①事業主の決算期(2月末~3月初旬)のタイミング
会社としての売上目標達成のために、この時期は値引き交渉が成功しやすい時期です。
ただし、ぎりぎりではローン審査の関係等もあり、決算期での売上計上が間に合わなくなりますので、3月末決算から逆算し、少し早めの交渉が必要となります。
②販売住戸数(在庫数)が少なくなったタイミング
販売住戸数(在庫数)が少なくなればなるほど、1戸当たりの販売コスト割合(人件費、広告費等)が嵩みます。
総合的判断の結果、マンション内にモデルルームを構え、残り1~2戸であれば、大幅値引きだけでなく、モデルルームで使用している家具付きといった特典が付く可能性もあります。
3-2 新築マンションの値引き交渉の方法
- 事業主の販売スタッフ(キーマン)を味方にする
- 住宅ローンの事前審査を行う
①事業主の販売スタッフ(キーマン)を味方にする
どれだけマンションを欲しいかという熱意を伝えつつ、勤めている会社、年収、予算等を正直に相談します。
見栄を張ることや、嘘の情報では、それが事業主に伝わってしまったときに、非常にの心象を悪くしますので絶対にやめるべきです。
販売スタッフも人間です。
自分が販売スタッフならどういった人になら、値引きをしてまで販売したいかを考えてください。
さらに、多くいる販売スタッフからキーマンを見抜くことも必要です。
新築マンションの販売価格は所長やプロジェクトリーダーと呼ばれる人が統括します。
この人に対して、売り上げの良いスタッフと悪いスタッフでは、値引きを働きかける力において大きな差(値引き金額)が生じることとなります。
販売スタッフ=営業担当です。
2~30分接してみて、優秀だなと思えなければ、担当変更を申し出てください。
遠慮してしまうかもしれませんが、事業主にとっては販売チャンスを逃すことになりますし、大抵の場合でしたら変更は可能です。
なお、変更要望は難癖をつけるのではなく、具体的にどういった質問に答えることができなかった等、できるだけ具体性を持たせ、新たな販売スタッフには何を求めるのか明確に伝えるようにしてください。
②住宅ローンの事前審査を行う
現金一括で購入を除き、事業主はこの人は本当にマンションを購入できるのか?ということが気がかりです。
販売スタッフにしても熱心に案内した人が実は年収について見栄えを張っていたり、他に別にローンを組んでいることを隠していたために、住宅ローンが通らなかったとなれば、それまでの労力が無駄になります。
住宅ローンには事前審査と本審査があり、事前審査はネット上でもできる金融機関が増えています。
事前審査は銀行に依頼すれば1~2週間で結果が出ますし(私の時は3~4日でした)、販売スタッフにも安心感を与えることができます。
これは値引き交渉をするうえで、とても重要なポイントとなります。
4 新築マンションが売れ残る3つの理由
事業主は綿密は販売戦略のもと新築マンションの販売を行いますが、なかなか予定通りに進めることができないことも多いです。
マンションが売れ残る主な3つの理由を紹介します。
- マンション価格が高すぎる
- マンションの立地条件が良くない
- マンションの事業主(デベロッパー)のブランド力が弱い
4-1 マンション価格が高すぎる
新築マンションの売れ残りの主な理由は、人気が無いのではなく、買いたくても買えないという水準まで価格が上昇しているということが世の中の流れです。
リーマンショック後の数年であれば5,000万円で購入できていた地域のマンションが、現在では7~8,000万円ということも珍しくありません。
いくら金利が低いといっても価格自体が高いため、平均的な収入では手の届か居ない水準にまで上昇しています。
4-2 マンションの立地条件が良くない
マンションの価値は9割、立地で決まると言われています。
以前は資産価値を保つためには駅から徒歩10分以内と言われていました。
しかし、近年ではネット上でマンションを検索してから販売会社に問い合わせることも増えてきており、検索数は駅から7~8分を境として大きく変化するという状況です。
将来住み替えを考えている人は、駅から徒歩5分以内で検討した方が良いでしょう。
逆に転勤が無く、地域に根差した生活を行っていく見通しであれば、地域への思いを交渉材料に有利に価格交渉ができるかもしれません。
4-3 マンションの事業主(デベロッパー)のブランド力が弱い
有名でない事業主より大手と呼ばれる事業主の方がブランド力に優れています。
マンション購入者に聞くと、「事業主が●社だから安心して購入した」ということを良く耳にするかと思いますが、正直な世間の反応です。
このブランド力を世間に知らしめたのが、2015年に神奈川の大規模マンション(パークシティLaLa横浜:4棟建ての705戸)で、複数の杭が地中の強固な地盤に届いておらず建物が傾いている事実が発覚した事案です。
このとき事業主である三井不動産レジデンシャルは、住民の住み替えまで補償し、素早く建て替えを決定できたことで、結局はブランド力のある大手事業主が安心との印象を世間に与えた結果となりました。
このように大手であればブランドを守るために、アフターサービスも手厚いですし、マンション購入の決め手の一つになります。(※もちろん有名でない事業主でも良い事業主はいます。)
5 売れ残る新築マンションのメリット・デメリット
売れ残るマンションは人気が無く、何か問題があるといった先入観で購入を避ける必要はありません。
売れ残りの新築マンションのメリットを紹介します。※デメリットにもなりえます。
- マンションの部屋だけでなく共用部も含め実物を確認できる
- 不具合がわかる
- 近隣住民がわかる
- マンションの管理状況を把握できる
- 住宅ローンの利率が確定している
5-1 マンションの部屋だけでなく共用部も含め実物を確認できる
華やかなモデルルーム、豪華なパンフレットやイメージ映像から素敵なマンションライフをイメージしますが、期待をし過ぎで、入居後にがっかりする人がいます。
売れ残った新築マンションであれば竣工後の実物を確認することができますので、「イメージと違った」というギャップがありません。
5-2 不具合がわかる
事業主、ゼネコンは決して不具合を出そうと思って、マンションを建設しているわけではないのですが、どうしても建設後に不具合が出ます。
その不具合を是正するために半年や1年といったタイミングで、アフターサービス点検を実施して、不具合を修繕します。
多くの場合は、3ヶ月or半年、1年、2年のタイミングです。
専有部分(自宅内)にのみ関係するちょっとした不具合であれば良いのですが、時には前述の杭問題のように、共用部分も含めマンション全体に関係する不具合が起きてしまいます。
その不具合に対してどのように事業主が考えているのか、将来的に修繕を予定しているのか、といったことが購入前に確認できます。
5-3 近隣住民がわかる
近隣住民がマナーを守らない(ゴミや私物を共用廊下に放置する等)と嫌ですよね?
売れ残ったマンションを購入する場合、このことは予めわかります。
マンションの永住志向が高まる中、終の住処にもなりうるマンションですので、近隣住民がどのような人かは重要であり、予め確認しておきたいところです。
5-4 マンションの管理状況を把握できる
管理会社に管理を委託しているとはいえ、マンション竣工当初は住民自身だけでなく、管理会社もマンションの使用や仕組みに不慣れです。
これは管理会社が悪いのではなく、当然ながらマンションが竣工してからでないと管理の準備ができませんし、住民自身もマンションのルールに不慣れで、悪気なく問題を起こしてしまうことが多いからです。
ただ、そうはいっても、掲示板、ゴミ置場、自転車置場等や管理会社からの各種案内を通して、管理状況(良くなっていくだろう見通し)はある程度把握できます。
「マンションは管理を買え」と言われるほど重要です。
予め管理状況がわかることは購入にあたっての安心材料となります。
5-5 住宅ローンの利率が確定している
大規模マンションであれば、完成までに2~3年かかるということも多いです。
新築マンションでは、このようなタイミングで住宅ローンを申し込むことになりますが、実際に金利が確定するのは入居する直前です。
その間に金利の変動リスクはありますし、竣工後であればほぼ確定した金利において、明確な返済計画を立てることができた上で、購入することができます。
まとめ 新築マンションの売れ残りと値引き交渉
本記事のまとめ
- 新築マンションの市況
- 新築マンションをあえて値引きする背景
- 新築マンションの値引き交渉術~タイミングと方法~
- 新築マンションが売れ残る3つの理由
- 売れ残る新築マンションのメリット・デメリット
売れ残る理由を見定め、事業主と良い関係を築くことで、売れ残る新築マンションでも値引きにより満足の行く購入ができます。
生活環境は人生の満足度に大きな影響を与えます。
大切な家族とも相談しながら、自分に合うマンションを選ぶ一助になれば幸いです。
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