マンション管理組合 役員(理事・監事)

マンション管理組合の監事が監査報告をできないときの対応方法

監事の監査報告ができないときの対応方法

 

本記事をご覧いただくことで次のような悩みを解決します。

  • 総会前に急に監事の方が入院してしまい、監査報告ができなくなった。
  • 監事が偏屈な人で監査報告をやりたくないと言って拒否した。

 

実はマンション管理組合総会における監事の監査報告業務において、法律では定めはありません。

 

また監査の義務を負っているのは理事長や理事ではなくあくまでも監事です。

 

もし様々な理由で監事による監査報告が総会でできないような状況になったときの対応方法を紹介します。

 

本記事は3分程度で読むことができますので、最後までお読みいただけると幸いです。

 

 

1 マンションの総会で監事が監査報告をできないケース

標準管理規約に準拠した一般的なマンションを想定して記載します。

 

監査報告ができないこととなる3パターンです。

 

  • 監事が役員資格を喪失
  • 監事が体調不良で入院して監査報告ができない
  • 監事が監査報告を拒否

 

1-1 監事が役員資格を喪失

「役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」との管理規約の規定から監事が住戸を売却した場合、その時点で監事ではなくなります。

 

注意事項としては、マンションの管理規約によって、監事に就任できる資格を組合員以外にも拡大している場合があります。

 

1-2 監事が体調不良で入院して監査報告ができない

マンション管理組合の1年間の事業年度が終了すると監事は管理組合の財産の状況を監査します。※事業年度はマンション毎に異なります。

 

しかし、この総会前に監査をするタイミングで監事が体調不良で入院をすると監査ができなくなります。

 

1-3 監事が監査報告を拒否

上記パターンと比べると数少ないケースです。

 

実際に関わったことがあるケースでは、監事は就任して間もなくは理事会に出席して意見を述べていました。

 

しかし、理事の意見を否定したり、過去の総会決議を自分は認めないと主張することにより、理事会内で浮いた存在になり、途中から理事会に出席しなくなりました。

 

総会前に理事長と管理会社が監査を依頼したときには、「理事会に出席していないので監査ができない。素人の自分が責任を持てる内容ではない」と言って、監査を拒否しました。

 

 

2 マンション管理組合の監事の役割

監事による監査チェックリスト

 

監事の役割は、大きく二つあり「業務監査」と「会計監査」です。

 

 

「会計監査」は、収支報告書、貸借対照表、残高証明書、請求書、領収書等の会計業務に関する資料を確認することで対応できますので、考え方によっては最後に会計資料だけ見ればわかるという人もいます。

 

しかし、「業務監査」は理事会の業務の執行状況の確認が必要となり、理事会に出席しておかないと、区分所有者からどのように「業務監査」を実施したのかという指摘に答えることができません。

 

理事会での議決権が無いにもかかわらず、標準管理規約には監事の理事会出席義務が記載されていることには違和感がありますが、業務監査をするうえでは、理事会での検討状況も把握しなければならないと考えると必要な規定かもしれません。

 

この「業務監査」の観点から、理事会の決議で後任の監事を選任できる管理規約になっていても、選任の時期によっては監査不十分との指摘を受ける可能性もあります。

 

 

なお、法人化していない管理組合の場合は、監事の定義に関して法律での定めはありませんが、法人化している管理組合には区分所有法に規定があります。

 

ただし、法人化をしている、していないに関わらず、管理規約に基づいて監事の業務を行うという前提に違いはなく、あまり気にしなくていいでしょう。

 

 

 

 

3 マンションの総会で監査報告ができない場合の対応方法

対応策は3つありますが、それぞれ問題点を抱えています。

 

  • 退任した監事の後任を選任して監査報告を行う
  • マンション管理士や公認会計士等の外部専門家に監査を依頼
  • 監査報告はしない

 

3-1 退任した監事の後任を選任して監査報告を行う

「理事」と「監事」は分けて総会で選任しますので、監事の後任を選任する場合、臨時総会を開催する必要があります。

 

しかし、管理規約で補欠の監事を理事会の決議で選任することができると定めていれば臨時総会を開催する必要はありません。

 

ただ、先ほど紹介しましたように、どれくらい監事としての任期が残っているのかによって、業務監査が非常に難しい場合がありますので注意が必要です。

 

後任に理事を選ぶのは筋違いです。

後任を理事から選んでしまうとそれまで「理事」として実施してきた業務に関し、「監事」と役割を代えた立場から、「自分が理事としてやっていた業務は正しい」という、観点から監査報告を行うことになってしまうからです。

 

3-2 マンション管理士や公認会計士等の外部専門家に監査を依頼

これは第三者の目線で監事に代わって管理組合業務を監査してもらう方法です。

 

総会で管理組合業務を適正に行ったと報告する際に最もらしい方法に見えますが、管理規約における監査報告の規定を満たしているものではないことに注意が必要です。

 

ただ、外部専門家からの助言をもらえる良い機会になります、やっておいて損はないといったところでしょうか。

 

しかし、外部専門家にもピンからキリまでいますので誰に依頼するかは慎重に検討する必要があります。

 

 

3-3 監査報告はしない

上記対策を検討したうえで、結局は管理規約に定める監事の業務をカバーすることができないと判断せざるをえない場合があります。

 

この場合、総会で監査報告をしなければいけないという規定はあくまでも監事の役割であり、管理規約に違反するのは理事長や理事会ではなくあくまでも監事です。

 

管理規約には違反しますが、法律違反ではありませんし、事情を総会で報告して、監査報告はしないという運営もできます。

 

理事会としてしっかりと検討を行い、この結論を選んだ場合にそれでも反対の意見を述べる人がいたならば、「あなたならどうするか、今後のために教えほしい」と返せば良いです。

 

きっと良い提案は出てこないでしょう。

 

 

まとめ マンション管理組合の監事が監査報告をできないときの対応方法

本記事のまとめ

  • マンションの総会で監事が監査報告をできないケース
  • マンション管理組合の監事の役割
  • マンションの総会で監査報告ができない場合の対応方法

 

監事が総会で監査報告ができなくなるケースという状況に直面することはほとんどありません。

 

ただ、もし直面すると慌ててしまいますよね。

 

せっかく真面目に取り組んできた理事会運営に対して、監査報告が無いことに関して「管理規約違反だ」と指摘を受けずに済むように、監事の監査報告の目的や管理規約の規定を正しく認識していただくことのお役に立てば幸いです。

 

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