




このように管理費や修繕積立金を他のマンションと比較することは難しいです。
本記事では管理費・修繕積立金の決まり方や相場を紹介します。
本記事をお読みいただくことで管理費や修繕積立金の相場に対する考え方が理解できるだけでなく、金額設定の根拠も知ることができますので、管理組合運営に対する理解が深まります。
1 マンション管理組合の管理費の決め方
管理費は管理員や清掃員の人件費、管理業者に支払う管理委託料、エレベーターや機械式駐車場といった共用設備の保守点検費、植栽管理の費用、共用部分の水道光熱費等のために必要となります。
また、どういったサービス(コンシェルジュを雇いたい、滝や川といった水景設備を持ちたい、豪華な共用施設にしたい等)を受けたいかという住民の希望が管理費の額を大きく左右します。
つまり、マンションがどういった構造や設備で、管理組合としてどのようなサービスを受けたいのかという考えをもとに、管理会社等に支払う管理委託料、共用部分の水道光熱費等を積み重ねた結果、その費用を支払うための必要な原資として管理費の額が決定されます。
なお、管理費会計は大きく2つの収入から成り立っています。
管理費会計の2つの収入源
①管理費収入
②駐車場使用料収入
しかし、最近は車離れが進み、空き区画が増えているため、空き区画をサブリースに出すことによって、収入を確保する管理組合が増えてきています。
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2 マンション管理組合の管理費の相場・平均値
管理費の相場を把握するために参考とすべきデータとして、国土交通省によるマンション総合調査の結果があります。
この調査結果全体の管理費の平均値は10,862円ですが、規模や築年数別にもまとめられています。
このデータでは管理費会計の収入の二つ目の柱である駐車場等の専用使用料収入を含めた場合の平均値は15,956円となります。
ここでマンションの規模別の平均値を確認すると20戸以下のマンションの平均値は13,260円(専用使用料含めると19,237円)という結果です。
つまりランニングコストを考えると、小さなマンションを購入することは避けたほうが良いと言えます。
大規模マンションのメリット
100戸以上では概ね11,000円前後(専用使用料含めると16,000円前後)ということから、戸数が多くなるほど規模のメリットを享受でき、管理費は低く抑えることができる傾向がみてとれます。
マンション総合調査
国土交通省が概ね5年毎(前回は2018年 平成30年)に無作為に抽出された全国の管理組合、区分所有者を対象に実施するアンケート調査です。
管理費や修繕積立金の平均値、長期修繕計画書や滞納の有無といった管理組合運営に参考となる様々な情報がまとめられており、前回は約1,700組合がこのアンケートに回答しています。
3 マンション管理組合の修繕積立金の決め方
将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にするために作成した長期修繕計画書が必要となります。
この長期修繕計画書に基づき、この先30年程度の間に必要となる工事費用から逆算し、積み立てるべき修繕積立金を決定します。
なお、長期修繕計画書に見込むべき工事には、鉄部塗装工事(6年周期)・屋上防水・外壁補修等をまとめて実施する大規模修繕工事( (10~15年周期)・給水管補修工事(16~25年周期)等があり、それぞれ多額の費用が必要となります。
長期修繕計画の作成の目的
①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。
②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。
③修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。
※【出典】国土交通省発行 長期修繕計画作成ガイドライン
長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等
4 マンション管理組合の修繕積立金の相場・平均値
修繕積立金の相場は管理費と同様にマンション総合調査の結果を参考にできます。
戸数、規模といったことを考慮しない平均値は11,243円(専用使用料含んで12,268円)です。
管理費との違い
修繕積立金は管理費とは違い、戸数による差異というより、築年数による差異が大きです。
築年数を5年毎に区切った場合、2009年(平成21年)以前は10,000円を超えているのに対し、それ以降はどの期間においても10,000円以下となっていることからこの傾向がわかります。
また、修繕積立金が段階増額という仕組みを取り入れていることからも当然の結果であることがわかります。
なお、マンション総合調査は修繕積立金の「相場」を確認するには十分な資料ですが、段階増額といった仕組みから、望ましい修繕積立金の額とはかけ離れたものになっています。
本質を知っていただくためには、2011年(平成23年)に「国土交通省が発表したマンションの修繕積立金に関するガイドライン」を把握しておく必要があります。
このガイドラインは規模にもよりますが、㎡単価として、178円~218円が竣工から30年で均等積立方式(途中で変更せずに1年目も30年目も同じ金額を積み立てる方式)で積み立てる場合の平均値・相場として示されています。
これは部屋の広さが70㎡のマンションであれば、12,460円~15,260円が竣工直後から積み立てた場合の望ましい水準ということです。
平均値の算出背景に注意
この数値はあくまでも分譲時から30年目までの平均値としているだけで、築30年以降に実施が必要となる電気系統の幹線の交換や建具・サッシの交換等の大型の工事が含まれていない期間に必要となる金額ということに注意しなければなりません。
修繕積立金は必要以上に積み立てる必要はありませんが、不足している管理組合がとても多いため、中古マンションを購入する際には、修繕積立金がどれくらい貯まっているのか、長期修繕計画書に照らし合わせた場合、資金計画に不足はないか、しっかりと確認しておかないと購入した直後に2倍、3倍となる可能性があります。
まとめ マンション管理組合の管理費、修繕積立金の決め方と相場
本記事のまとめ
- マンション管理組合の管理費の決め方
- マンション管理組合の管理費の相場・平均値
- マンション管理組合の修繕積立金の決め方
- マンション管理組合の修繕積立金の相場・平均値
同じマンションは二つとないことから、まったく同じ管理費、修繕積立金の構成はありません。
相場はあくまでも参考という位置づけで理解すべきですが、そこから大きく離れている場合には、何か理由があります。
それぞれの成り立ちを理解し、知らないことで損をすることがないように、管理組合運営やマンション選びに役立つと幸いです。
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