分譲マンションを購入すると、区分所有法の規定により、購入者=区分所有者という位置づけにて、自らの意志に関係なく「管理組合」に所属することになります。
さて、このマンション管理組合の役割をご存知でしょうか?
かたく表現するならマンションの共用部分の維持管理を行う組織です。
この共用部分とはお部屋の外側と考えれば良いです。
本記事では管理組合の役割や区分所有者に関する権利と義務、さらには管理会社との関係について解説します。
こんな方におすすめ
- マンション管理組合と管理会社の違いを理解したい
- マンションの理事・役員になったことで管理組合業務を理解したい
1 マンション管理組合の業務とは?
マンション管理組合とは「マンションの所有者=名義人=区分所有者」から構成された、マンションの共用部分の維持管理を行う団体です。
マンションを購入すると権利(区分所有権)も持ちますが、あわせて義務(管理組合運営の参画・役員の就任等)も発生します。
管理組合と管理会社の役割を勘違いしている人がいますが、共用部分の維持管理の主体は管理組合(区分所有者の集まり)であり、管理会社は、管理組合が行うべき業務の一部を委託されているだけです。
例えばエントランスのガラスが割れたときを例に権利関係を説明します。
このガラスを修繕する権利を持っているのは誰でしょうか?
管理会社と思う人がいるかもしれませんが、それは間違えで正しくはマンション管理組合です。
ただ、マンションによっては数百世帯が入居しており、その都度、エントランスのガラス修理をAという会社にいくらで依頼するということの合意を取っていては、いつまでたっても修理ができません。
そういったことの判断は管理組合の代表者の集まりである理事会(理事長)が行い、修理の手配を決定します。
この決定によって、ようやく管理会社は修繕のサポート(業者Aに連絡し発注手続き、修繕費用の支払い等)を行うことができる状況となります。
マンションは管理を買え
この管理組合活動の取り組み姿勢がマンションの良し悪しを決めると言っても過言ではなく、そこに適切な管理会社のサポートが加わることにより、世間で言われる「マンションは管理を買え」との言葉の意味を知ることができます。
なお、管理組合の業務は次のように標準管理規約に定められています。
2 区分所有者のマンション管理組合運営への関わり方は二つ
区分所有者の管理組合運営への関わり方は大きく2つあります。
区分所有者の関わり方
- 管理組合役員(理事・監事)としての関わり
- いち区分所有者としての関わり
それぞれを紹介します。
2-1 理事会役員として管理組合運営に関わる
前述したようにマンションでガラスが割れたときなど、問題が発生する度に、全区分所有者に確認をとることは現実的ではありません。
そのために、区分所有者を代表した人たちから構成される理事会があります。
理事会は理事長、副理事長、会計理事、理事、監事から構成され、組合員=区分所有者のうちから総会で選任されます。
役職の決定は理事会で行いますが、総会で役員(理事と監事)を選任する際の選び方としては、輪番、本人による立候補、他者からの推薦、抽選の4つがあります。
管理組合役員の選び方
- 輪番(最も一般的)
- 本人による立候補
- 他者からの水栓
- 抽選
このうち最も一般的な輪番での選任は、小規模マンションであれば数年に1回、大規模マンションであれば、2~30年に1回といった頻度になります。
ご自身の順番が来たら、面倒と思わず、マンションのことを知る機会ですので、ぜひ積極的に理事会に参加してみてください。
輪番の例:101号室の次は102号室、その次は103号室と一定の順番で役員が回ってきます。
2-2 役員にはならず「いち区分所有者」として管理組合運営に関わる
普段は全く何もしなくても管理組合運営は理事会によって進められていきます。
年に一度、総会という全区分所有者を出席の対象とした会合が開催されます。
直接参加できない方や参加しようと思わない方は、議決権行使書や委任状の提出をすれば、ほぼ管理組合運営に関わることなく、一年が過ぎていきます。
その他、管理組合運営に関わる場合として、受け身のスタンスでは理事会が実施するアンケートへの協力があります。
積極的な管理組合運営の関わり
また、積極的に関与する場合は、日常気になることを理事会に提言するといったことや理事会が設置する専門委員会(よくあるのが大規模修繕委員会)への立候補です。
いずれにしても、自分の財産であるマンションの価値を維持、高めていくことを考えれば、常に関心を持ち、積極的に参加されることが重要です。
3 マンション管理組合運営の鍵を握る理事会の役割と総会の関係
区分所有者の代表で構成される理事会の活動内容を紹介します。
理事会は議題の重さや数によって変わりますが、大規模マンションほど月1回の開催頻度に近づきます。
小規模マンションは数か月に一度という場合が多いです。
マンションによっては総会前と総会後しか開催しないということがありますが、もっと積極的に理事会活動を行った方が良いでしょう。
3-1 マンション管理組合運営における理事会の役割
理事会ではマンション全体の管理状況(会計管理、駐車場、居住者からのご意見等)を共有して検討することや、清掃や設備点検結果を確認します。
こういった活動を一年間実施し、総決算として総会を開催します。
3-2 マンション管理組合運営における総会の役割
総会では事業・会計報告、次年度の事業計画・予算の決定、来期役員の選出や理事会で決めることができない管理規約の変更等を審議します。
この総会を終了させて晴れて一年の理事会活動が終了します。
そして、新理事会はこの総会で決定した事業計画・予算をもとに運営を行うという流れです。
なお、総会で決めなければならない重要な議案があるときには、臨時総会を開催して審議を行うことができます。
標準管理規約の定めによると、総会で決めなければならないとされていることは次のとおりです。
4 管理組合業務と勘違いされやすいマンション管理会社の立場と業務
理事会役員が次のようなことを自らが実施することは現実的ではないため、管理組合は管理会社に対して、実施してほしい業務の一部を委託します。
管理会社に委託する業務
- 管理費等を集めて、必要経費を支払う出納業務
- 管理員や清掃員を採用して行う受付や清掃業務
- 給水ポンプや機械式駐車場等の点検業務
こういった業務は管理会社に委託して実施しているのが多くのマンションの現状です。
一部、自主管理ということで区分所有者や住民が協力してこれらのことを実施している管理組合がありますが、お勧めできません。
管理会社との関係においては、管理会社のフロント担当者と上手く付き合い、積極的にマンションを良くする提案を引き出し、良い意味で管理会社と上手く付き合うことで管理の質を上げることができます。
なお、管理会社といっても、三井、三菱といった大手の財閥系や日本ハウズイングや合人社といったデベロッパーという親会社を持たない価格重視の独立系、特定の地域のみで営業している地場の管理会社といった様々な背景を持った会社があります。
どの管理会社がご自身のマンションの要望に応えることができるかを見極めて、「安かろう、悪かろう」にならない管理会社を選ぶ必要があります。
ここで選択を誤ると、選んだ直後は良くても、将来的に必ず問題が発生します。
まとめ
本記事のまとめ
マンション管理組合の業務とは?
区分所有者のマンション管理組合運営への関わり方は二つ
マンション管理組合運営の鍵を握る理事会の役割と総会の関係
管理組合業務と混同しそうなマンション管理会社の立場と業務
せっかく高いお金を払ってマンションを購入したのですから、その価値はご自身で守って高めていくという姿勢で管理組合活動に参加することが重要と考えます。
管理組合活動は面倒と思うかもしれませんが、会社のように上下関係もありませんし、様々な価値観に触れることができる機会です。
この記事が管理組合への理解を深めることに役立ち、皆様が「管理組合活動を楽しむぞ」という姿勢で、積極的に役員に立候補し、組合活動に参画されることを願っています。
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